松江市議会2月定例会の開会にあたり、まず、平成24年度の市政運営に臨む私の考え方と、重点的に取り組む施策について申し上げ、議員並びに市民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
さて、欧州債務危機を背景として世界的に経済は低迷しており、我が国においても東日本大震災や円高による輸出額の減少などにより、貿易収支は31年ぶりに赤字となりました。
そして企業の収益悪化は賃金の上昇を抑制し、消費者の需要は依然として低く、全国消費者物価指数は3年連続マイナスとなるなど、デフレからの脱却が見えない状況にあります。
また、政治情勢では「TPP問題」や「税と社会保障の一体改革」など国民生活に直結する課題が山積しており、今後も注視しながら本市の意見を訴えていく必要があると考えています。
一方、本市が求めてまいりました地域主権は「地域主権改革三法案」が成立し、「国と地方の協議の場」が法制化されるなど大きな前進を見たところであり、国と地方が対等な立場で協議を行い、一層の権限と財源が地方に移譲されることを期待するものであります。
このような状況の下、本市は東出雲町との合併を成就し、山陰最大の都市として本年4月に特例市へ移行しますが、新たな船出は、順風満帆ではないと覚悟をしています。
依然として厳しい財政状況の中、限られた財源を最大限効果的に活用するため行財政改革と客観的なデータの活用による施策の重点化をセットで進めてまいります。
そして、自然、歴史、文化を含め本市が誇る資源を最大限に活用し、益々激しくなる環境変化に耐えられる次代の産業をつくりあげ、住む人、訪れる人がともに松江の良さを実感していただけるまちの実現に向けて、粉骨砕身取り組む覚悟でございます。皆様の格段のご理解ご協力をお願い申し上げます。
私は、松江市という家を守り、市民という家族の幸せを願い、家長として責任と自覚を持ってこれまで市政を運営してまいりました。
そこで、来年度、重点的に取り組む施策を、3世代が暮らす一軒の家に例えたイメージ図を用意しました。
家の土台には、「安心・安全なまちづくり」を据えて一層、力を入れて取り組みます。
土台の上には「定住・雇用対策の強化」「ポスト400年祭」の2つの柱を立てており、中でも「定住・雇用対策の強化」については、施策を世代ごとに部屋分けすることで、市の取り組みをわかりやすくお伝えしていきます。
そして、3世代にわたって取り組む施策の上に、将来の魅力の高いまちを見据え、新たなビジョンを策定したいと思っています。
最後に、屋根には「住みやすさ日本一の実現」が掲げてあります。この目標を達成するために、全ての施策を着実に実行してまいります。
これから順次、具体的なお話に移らせていただきます。
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まずは、土台となる安心・安全なまちづくりについてです。
東日本大震災の発生から早くも1年近くが経とうとしています。この間、被災地への支援に全力で取り組みながら、国には、原発事故の徹底解明や原子力発電所の安全確保を強く要望してまいりました。また、県には、モニタリングポストの増設や緊急時の監視体制の充実をお願いするとともに、中国電力の安全対策の実施状況を、議会の皆様とともに逐次現地で確認してきたところであります。
今後も被災地の一日も早い復興を祈りながら、命の大切さを常に忘れることなく行動してまいります。
原発立地市としての姿勢
さて、私は、福島第一原発の事故を目の当たりにし、また、多くの被災者の方がふるさとを離れる姿を見て、今後は、原発のあり方そのものを考えていかなければならないと強く感じたところであります。
そして、老朽化した原発を動かし続けることは、市民の皆様を不安にさせるものであり、一定の基準を設けて廃炉にしていくべきとの考えに至ったところであります。
先般、国において、運転年数を最長40年、特例で20年まで延長という方針が公表されましたが、40年とする根拠や特例の基準を明確にするよう求めていく必要があると思っています。
本年の夏には、国のエネルギー基本計画が策定されることとなっており、この中で、原発の役割を明確にし、私たちが納得できるビジョンを示すよう要請してまいります。
原発が立地する唯一の県庁所在地の市長として、この美しいまちを将来に継承していくことを何より大切に、今後も努力してまいります。
防災体制の強化
「地域防災計画の改訂」
次に防災体制の強化についてお話をいたします。
地域防災計画は、防災対策、避難方法、復旧復興など安心安全に大きく関わる計画であることから、防災体制の強化に精一杯取り組み、平成24年度末に全面的に改訂したいと考えています。
(地震・津波・原子力災害)
まず、地震については、島根県の地震被害想定調査による被害の見直しに基づき、備蓄食糧の確保や資機材の充実を検討してまいります。
また、老朽化した建物の危険度や地盤が弱い地域、大規模に盛土造成された住宅団地などの地盤調査を進め、防災対策を充実させてまいります。
一方、津波対策については、現在島根県において美保関町の七類地区をモデルに、対策マニュアルの作成が進められています。本市はこの見直しを受け、新年度に沿岸集落単位の津波避難計画や津波ハザードマップを作成するとともに、現在地の標高を示した津波啓発看板の設置も進めてまいります。
なお、皆様の防災に役立てていただくため、地震、津波などのハザードマップは、防災ガイドブックに掲載し、地域防災計画の策定にあわせ全戸に配布いたします。
さらに昨年5月に立ち上げた「原子力防災対策プロジェクト」は、災害発生時に最も重要となる広域避難について鋭意検討を進めています。先般、県から広域避難先の大枠が示されたことから、具体的な避難先の検討を進め、本年秋には暫定避難計画を策定し、地域防災計画に反映させてまいります。
(防災道路の整備)
防災道路の整備も進めてまいります。市道12橋りょうの耐震化は、既に調査に入っており、平成26年度までに完成させます。
また、広域避難道路については、古浦西長江線の早期整備に引き続き取り組むとともに、国道432号大庭バイパス・古志原工区や松江木次線などについても原発特措法に基づく地域振興計画に登載し、事業を推進していただきたいと思っています。
さらに、宍道湖圏域北側の幹線ルートとなる境港出雲道路は、圏域の発展と避難道路として益々重要性が高まっていることから、松江市域ルートの早期決定を要望してまいります。そして、この境港出雲道路に繋がる境美保関線の整備により、美保関町地域の基幹的な道路網が確立するよう取り組みたいと思っています。
(緊急情報の伝達)
続いて、緊急情報の伝達についてです。
緊急情報は、迅速で災害に強いことが重要であり、屋外スピーカーを主体として、屋内告知端末、防災メールなど複数の伝達手段の整備を進めています。
屋外スピーカーは、平成25年度までに現在計画している339基の整備を完了するとともに、東日本大震災や原発事故を踏まえ増設を検討してまいります。
また、屋内告知端末や防災メールの一層の普及に取り組んでまいります。
(自主防災組織の強化)
防災体制の強化の最後は、自主防災組織です。
地域防災力向上のために、自治会単位で共助の活動を推進する自主防災組織については、資機材購入の支援を行っていくとともに、リーダーとなる地域防災指導員の皆様の協力をいただきながら、活動の充実と結成促進に取り組んでまいります。
以上、お話をしたとおり、防災体制の強化を図ってまいりますが、今後、国や県において示される新たな知見や計画とも随時整合を図りながら、地域防災計画を実効性の高い計画にしてまいります。
大橋川改修事業
さて、大橋川改修事業は、皆様のご協力により、昨年8月に追子地区の築堤工事に着手し、本格的に動きだしました。
また、下流部の拡幅は、宍道湖・大橋川の水位を下げる効果が高いことから、早期の改修に向け、矢田町や朝酌町矢田地区、宍道湖、中海両漁協など関係機関の皆様と地域振興策を含めて協議を進めています。
一方、上流部の白潟地区の拡幅工事は、概ね10年後の予定でありますが、将来の生活に対する地域の皆様の不安を出来る限り早く解消することが重要であると考えています。
このため、私が先頭に立って地域へ出かけ、平成24年度末に背後地の道路・公園・住宅・店舗の再配置など、地域の活性化に繋がる基本計画を策定したいと考えています。
基本計画策定後の事業着手は、松江大橋の取り扱いや大橋川改修の工程との調整など様々な課題はありますが、拡幅工事を待つことなく、市が主体となり背後地整備を先行させることも必要と考えており、今後、国や県に働きかけたいと考えています。
一方、内水対策に大きな効果を発揮する天神川水門や権太夫川水門の早期整備についても国に要望してまいります。
いずれにいたしましても、大橋川改修事業は、家屋移転をはじめ多くの皆様にご負担をかけることから、市も組織を強化して、市街地の治水対策と新たなまちづくりに全力で取り組んでまいります。
続いて、市政運営の柱「定住・雇用対策の強化」について、世代ごとに取り組みをお話いたします。
世代ごとの暮らしやすさを追求
「子どもたちを健やかに育てる」
まず、最初は、将来の松江市を担う子どもたちへの支援からお話しします。
平成22年の本市の合計特殊出生率は1.58であり全国平均を0.19上回りました。また過去5年間を見ると、全国平均より、ほぼ倍の上昇率で回復してきています。
全国平均を上回る高い率で増加傾向にある要因は、一概には言えないものの、子育て環境日本一を掲げて出生率の回復を目指してきた本市にとって、大変、明るい数字であり、今後も、自信を持って子育て施策を進めていきたいと思っています。
さて、子育て環境の充実を図るため、これまで、乳幼児等医療費や保育料の軽減、保育所待機児童の解消に精力的に取り組んできました。
乳幼児等医療費の軽減については、段階的に取り組み、現在小学校3年生までの医療費を無料化していますが、本年7月からは子ども医療費助成とし、さらに対象を小学校6年生までに拡充いたします。
また、保育料についても、中間所得者層の皆さんの負担を一層、軽減いたします。
保育所待機児童については、年度当初の待機児童をほぼ解消することが出来ましたが、さらに、民間保育所の施設整備を支援し、年度中途における待機児童の解消と保育環境の向上に取り組みます。
これらの施策を通して、名実ともに日本一の子育て環境の実現を図ってまいります。
一方、子どもたちへの質の高い教育・保育の提供は、就任以来一貫した私の願いであり、新年度も、城西地区の幼保園整備や小中一貫教育の充実を進めます。
城西地区の幼保園は、地域や保護者の皆様と十分に話し合いながら、用地取得や計画策定に取り組み、平成26年度の開園を目指したいと思っています。
また、一つの小学校へ多数の保育所、幼稚園から入学する状況などがあることから、保育所・幼稚園と小学校との連携をより強め、子どもたちが環境の変化に対応出来るよう「保幼小中一貫教育」に向けた取組を進めてまいります。
続いて、中学生の皆さんには、将来を見据えた進路選択を願っており、働くことの意義や目的、職業について考えてもらいたいと思っています。
そこで、中学校の生徒や保護者等を対象に、専門家による講演やアドバイスを行う「キャリア教育支援事業」を行い、生徒自らが進路の実現に努力しようとする意欲を育みたいと思っています。
また、Rubyについては、新年度から、市立中学校においてRubyを使ったプログラミングの授業を開始するとともに、中学生Ruby e−Learning事業に取り組み、自宅のパソコンで気軽にRubyに触れられる環境づくりを進めてまいります。継続して興味、関心が持てるよう、例えばクイズ形式にするなどの工夫を凝らし、進捗度合いに合わせたフォローアップができるように検討を加えてまいります。
「Ruby人材の育成」と「IT産業の振興」が両輪となり、地元の優秀な人材が、地元のIT企業へ就職する仕組みを確立していくことにより、一層、若者の定住促進につなげたいと思っています。
さて、移動範囲の広がる学生の皆さんには、通学にバスや自転車が利用しやすい環境を整えます。
市営バスは、学生を対象とした通学フリー定期券「のりほスクールパス」を試行的に販売します。1ヶ月5,000円で交通局のほぼ全路線を自由に乗り降り出来き、通学に係る負担が軽減され、行動範囲も広がることから、学校帰りの塾や課外活動などにもバスを利用してもらいたいと思っています。
また、松江駅の東西駐輪場は、通学生の利用料を無料にいたします。
「若者・女性によるまちづくり」
若者、女性の皆さんのアイディアやパワーが存分に発揮してもらえるように応援をしてまいります。
若者の活力により運営されている「水辺の芸術祭」は、「松江大綱引大会」や「おでんサミット」とあわせ、松江らしい秋の風物詩として定着しつつあります。
また、今年度からスタートした青年会議は、31人のメンバーの皆さんと私も実際に膝を交えて話し合い、若者らしい夢を聞き、大変うれしく思いました。既に、メンバー同士が旧知の仲になり、ネットワークは着実に広がりつつあると聞いています。
さらに、昨年の日本女性会議は、女性の持つパワーときめ細かい心配りやおもてなしの心が大きな成果に繋がりました。
私は、若者や女性の皆さんがまちづくりに果たす役割は、今後一層、高まるものと思っていますが、一方でリーダーとなる人材育成を望む声も聞いています。
この要望に応えたいと思い、若者や女性の皆さんが、自分たちでメニューを組み立てる海外視察を支援することといたしました。
百聞は一見に如かず。グローバルな視点で企画をたて、積極的な行動力でみんなを引っ張るリーダーの育成を願っています。
さらに、様々な若者・女性団体、商店街、飲食店が中心となって、街一帯を出会いの場とする「松江縁結び・神逢月事業」を支援し、商店街の活性化や賑わいづくりにも繋がることを期待しています。
「働き盛りの世代を支援する」
新規学卒者の皆さんや一家の柱として働くお父さん、お母さんの支援に力を入れます。
さて、平成19年度の施政方針では、人口の減少をもたらした最も大きな要因は、就職をきっかけとする市外への転出であり、雇用の場の確保が喫緊の課題であることを申し上げました。
今回、平成20年以降の4年間の社会動態を改めて検証したところ、社会動態全体で見ると、平成20年は、転入者より転出者が716人上回っていたものが急速に減り、平成23年7月末の合併直前では、逆に転入者が転出者を45人上回る結果となりました。また、就職についても同様に、転出者の減少、転入者の増加が着実に進んでいます。
今後も産業振興や雇用の場を確保し、松江市で住みたい人をしっかり受け止める施策を展開してまいります。
(企業立地の推進)
働き盛り世代への支援の最初は、企業立地の推進です。平成18年からの立地企業は、34社となり、企業か
らは、670人の雇用計画をいただき、これまで順調に雇用に結びついています。今後も平成25年度末までに、360人程度の雇用が見込まれていますが、これに満足することなく、さらに企業立地を推進して雇用の拡大を図ってまいります。
このため、今後も電気料金やソフト産業への家賃補助制度など本市独自の優遇制度を活かし、IT企業などを実際に本市に招聘してPRをしてまいります。
(ものづくり産業の振興)
次にものづくり産業の振興についてです。
私は、企業経営者の皆さん方との直接対話を重視し、市内の工業団地を中心に、昨年4月から16回、延べ190社、220人以上の方とお話をさせていただきました。こうした対話を通じて、やはり、経済のグローバル化、円高、東日本大震災の影響などにより、各企業とも厳しい経営環境であることを改めて実感いたしました。
こうした状況を打破するため、東出雲町との合併を契機とし、ものづくり産業の振興を積極的に支援していくことは、私の大きな責務と考えており、「ものづくりアクションプラン」の策定に取り組んでいます。
このアクションプランは、主役である企業経営者の皆さんをはじめ、産学官が一体となり策定することとしており、各企業の新規受注を増やしていくために「独自技術の開発」「ITとの連携」「水質浄化・高齢化をはじめとする本市の施策課題への対応」「宍道湖・中海圏域の連携」などをキーワードに実効性の高い計画にしてまいります。
また、産業支援センターのあり方についても検討を加え、アクションプランの策定を通して、各企業から求められる機能の強化を図ってまいります。
(中小企業への支援)
続いて、中小企業の支援です。島根県は、製造業やIT企業などの中小企業が、優れた技術力の習得のために行う研修派遣や指導者の受け入れに対して支援を行っており、新年度から本市も県に上乗せして支援を行うことといたしました。
派遣先の企業と技術的に提携することにより、新規受注を受けた実績もあり、自社固有のサービスを確立し販路拡大に繋げてもらいたいと思っています。
また、多くの企業が積極的に取り組めるよう、製造業の設備貸与制度の支援を拡大することといたしました。
(農林水産業の振興と雇用の創出)
「働き盛りの世代を支援する」の最後は、農林水産業の振興と雇用の創出についてです。
農林水産業については、継続した課題となっている高齢化や担い手不足を解決するために、「地域コミュニティの活用」「高齢者の活躍と担い手育成」「生産基盤の強化」「ブランド化」「販路拡大」をキーワードに再生・振興を図ってまいります。
まず、地域コミュニティを活用した集落営農の組織化を推進してまいります。
現在、45の組織が立ち上がっており、地域によっては、農業の経験がない高齢者の協力を得ながら、農地の集積や機械の共同購入による経営の効率化、生鮮野菜や加工品の直売所の設置、収穫祭などイベントの実施、法人化に向けた手続き支援など多様な取り組みがされています。
集落営農組織の活動が、集落全体の活性化につながり、若者にも魅力のある就労の場となるよう、市職員が積極的に地域に出かけ協議を行いたいと思っています。
また、本市の耕作放棄地は農地全体の約26%を占め、国平均の2.5倍となっており、新年度はモデル地域を指定し、耕作放棄地の解消に取り組んでまいります。
一方、生産基盤の強化やブランド化にも継続して取り組んでまいります。
牡丹については、本年1月に台北市の建国花市30周年に招待を受け、台北市長へトップセールスを行いました。また、5年間で約30万本の生産量増を目標に、生産基盤の強化を図るため、「根黒斑(ネコクハン)病」をはじめ、様々な病害虫対策に取り組んでまいります。
さらに、特産品フェアを今年度のカラコロ工房に続き、新年度は東京の「にほんばし島根館」において開催を予定しており、東出雲町の特産品である西条柿をはじめとした農産物や美保関町、島根町、鹿島町のサワラ、アワビ、イワガキ、ワカメなどの水産物や水産加工品も出展してもらい販路拡大を図るとともに、新商品の開発、鮮度処理や養殖技術の向上を支援してまいります。
「高齢者が安心して、いきいき暮らせる」
今後、重点を置いて取り組む高齢者の皆さんへの施策をご紹介します。
高齢者の8割は元気な方であり、生きがいを感じ、活躍できる環境を積極的に作りたいと考えています。このために、加入率が約30%の「老人クラブ」や約70%にとどまる「町内会・自治会」活動の活性化に取り組んでまいります。
私は、以前、NHK「ご近所の底力」という番組を見て、全国では、こんなにユニークな取り組みがされているのかと感心したことがありました。
そこで、地域づくりを進めるアイディアや実践を全国から教えていただく仕組みをつくるため、ブログを活用した情報収集を行うことといたしました。
まず、市職員が地域に出かけ、皆様から地域の課題や取り組んでみたいことなどを集め、その内容を、開設したブログ上に随時アップし、全国からアイディアを書き込んでもらいたいと考えています。
また、70歳以上の高齢者の皆さんには、コミュニティバスを含めた全路線バスの運賃を半額にする「まめでおでかけバス事業」を新年度試行的に導入いたします。
バスを利用して買い物、趣味のサークル、友人との食事など積極的にお出かけいただきたいと考えています。
一方、支援を必要とする高齢者の方への施策も充実させてまいります。
災害時はもとより、平常時からの見守り活動をしていただく「要援護者支援推進会議」の設置は、元気な高齢者の方のお力添えもいただきながら進めたいと思っています。
また、地域包括支援センターには、介護の悩み、認知症や高齢者虐待、将来への不安など様々な相談が年間延べ7,000件以上寄せられ、年々増加しています。
このため新年度から、地域包括支援センターを現在の5か所から1ヶ所増設するとともに、宍道町と美保関町にサテライトセンターを設置し、自宅への訪問相談などの迅速化を図り、地域の総合相談窓口として一層機能を充実させてまいります。
入所待機者の多い特別養護老人ホームは、新年度から3年間で230床の整備を計画しています。地域のバランスを考え、市の遊休資産も活用し、平成24年度は、地域を挙げた協力体制の下、要望をいただいている島根町の野波中学校跡地への整備を進めてまいります。
さらに、日常の買物が困難な方を支援する「買物ビジネス参入支援事業」は、今年度、モデル地区7か所で実態調査を行い、ニーズや課題の把握を行いました。
新年度は、この結果を広く情報提供する中で、民間事業者などが主体となる事業提案を受け、課題の解決にすぐれ、採算性も見込まれる事業の立ち上げに対して積極的に支援を行いたいと思います。
「障がい者の社会参画を支援する」
さて、障がい者の方の自立に向けた支援も重要な課題です。
まつえ障がい者サポートステーション「絆」は、障がいの種類によって分かれていた生活相談の窓口を一本化し、また同じフロアで就労支援を行なっています。昨年7月の開設以来、月平均約700件の相談を受けており、従来の相談支援事業所と合わせた市全体の相談受付件数は、前年に比べ約62%伸びています。
一方、松江市発達・教育相談支援センター「エスコ」は、生活訓練や保護者、学校、施設職員など障がい者の方を見守り、サポートする側の資質の向上にも取り組んでおり、市役所や幼稚園で受けていた相談件数の2倍を超える月平均約130件の相談を受けています。
「絆」と「エスコ」は、窓口の明確化とライフステージを通じた総合的な支援体制が成果となって表れており、今後も両施設の連携を深め、一層サポート体制の充実を図ってまいります。
さらに、新年度から、障がい者の方を一定割合以上雇用する企業への雇用助成金制度を新設し、働きたいと思う障がい者の方がいきいきと働き、地域で自立し、生きがいを持って暮らしていけるよう支援をしてまいります。
「全世代を支援する」
世代ごとの暮らしやすさを追求する最後に、全世代にわたる支援として「歩行環境の整備」「水と緑のまちづくり」「総合体育館の建設」「新しい地域づくり拠点」をご紹介いたします。
(歩行環境の整備)
市民1万人アンケートでは、歩行環境の整備を望む声は世代を問わず非常に多く、東日本大震災によりその声は益々強くなっていると認識しています。
これまでも通学路や病院などを中心に歩道整備を進め、繁華街である東本町の段差解消や美装化にも取り組む予定にしていますが、さらに皆様の期待に応えていくために、自転車も含めた「安心・安全歩行空間創造プラン」の策定に着手することといたしました。まちあるき観光の推進、自転車走行レーンや先進的なレンタサイクルシステムなど「サイクルシティ構想」も含めて検討してまいります。
(水と緑・環境にやさしいまちづくり)
水や緑に恵まれた本市の美しい自然を引き続き守り、環境に優しいまちづくりを推進するため、新年度は「宍道湖の水環境改善」「まちの緑化」「新エネルギーの導入」に取り組み、引き続き保全と活用を図ってまいります。
宍道湖の水環境の改善については、国、県、出雲市と協議会を立ち上げ、市民、企業、団体の皆様とも一体となって取り組みたいと考えており、「汽水湖環境サミット」も開催したいと思っています。
このサミットでは、全国の汽水湖を有する都市と水質改善や資源の活用について議論を深め、あわせて多様な生態系を持つ汽水湖の魅力を全国に情報発信したいと思っています。
また、潤いを与える緑をまちに広げていくために、これまでの屋上や壁面の緑化に加えて、駐車場の緑化も支援できるよう制度を拡充いたします。モデルケースとして実施した市役所駐車場の緑化は、真夏の温度抑制も確認されており、多くの皆様に活用いただくことを期待しています。
さらに、松江総合運動公園の散策路には、「島根の椿」を中心に総数300本を年次的に植栽し、本市の花「椿」が市民の皆様に親しまれ、憩いを与えるよう取り組んでまいります。
一方、新エネルギーについては、他都市にさきがけ創設した太陽光発電の設置補助制度の拡充や市役所庁舎・公民館・学校への太陽光発電の導入を図るとともに、その他の新エネルギーについても研究してまいります。
(松江市総合体育館の建設)
錦織 圭選手の全豪オープン・ベスト8は、私たちを大いに元気づけてくれました。近々、市民の皆さんと一緒に応援メッセージのDVDを届けたいと思っています。
また、スサノオマジックは、連日熱戦を繰り広げ、まちに新たな活気を与えてくれています。ホームアリーナとなる新総合体育館でも観客を魅了してくれるものと確信しています。
この新総合体育館は、市民が気軽に利用でき、ハイレベルなプレーが楽しめ、競技団体やスポーツクラブの拠点となるよう整備を進めてまいります。
また、長期避難が可能で、障がい者、高齢者にやさしい施設とし、太陽光発電を導入し環境への負荷も少なくしたいと思っています。
さらに、島根スサノオマジックのジェリコ監督からは、他チームへのおもてなしが伝わる施設となるよう要望を受けており、松江らしいおもてなしの機能を検討してまいります。
平成24年度から基本設計に着手し、平成27年度の竣工を目指してまいります。
(新しい地域づくり拠点)
昨年6月議会で、防災機能や地域づくりの機能などを維持し、地域全体の安心感につながる拠点づくりのため、旧町村部では基本的な市民サービスなどを提供する支所機能は当面維持し、公民館とは連携・複合化を図る必要があると表明しました。
私は、地域のことについてはできるだけ多くの住民の皆さんに関わっていただき、行政との協働でまちづくりを進めていくことが、一層個性あふれる地域をつくり市全体のコミュニティ力を向上させていくことになると考えています。
そのためにも、地域づくりの主体を公民館が担う松江方式を旧町村部においても確立させ、さらに支所機能と一体化させた新しい拠点をつくりたいと思っています。
現在「支所と公民館のあり方」について、そのような観点から素案づくりを行っている段階ですが、3月中には外部委員会での議論をスタートさせ、適宜各地域協議会や市議会のご意見を伺いまとめてまいります。
また、その仕組みを反映させた八雲・宍道での新たな施設の整備に向けても取り組んでまいります。
「歴史・文化・伝統の薫る城下町」をテーマに「ひとづくり」「まちづくり」を運営理念として様々な事業を展開してまいりました「松江開府400年祭」は、成功裏に終了することができました。
5年間の長きにわたり、市民、議会の皆様をはじめとする関係者の皆様の協力に心から感謝を申しあげます。
今後は松江開府400年祭で再認識された「松江」の魅力の継承・発展を図るため「まちあるき観光」と「外国人観光客の誘致」(インバウンド)を基軸に「ポスト400年祭」に取り組んでまいります。
まちあるき観光の推進
松江開府400年記念博覧会では、約300回のガイドによるまちあるきを企画しましたが、実施率は3割に満たない結果となり、行政主体では中々うまくいかないことを実感いたしました。
このため新年度は「商店街の活性化」「市民参加」「地域資源の活用」をテーマにまちあるきを推進してまいります。
全国では、まちあるきにより商店街が活性化した例もあり、本市の商店街にも主体となっていただき、「まちあるきガイドブック」などで積極的に商店街をPRしたいと考えています。
また、松江歴史館に「まちあるき案内所」の看板を掲げ、まちあるきガイダンスの機能を強化してまいります。
一方、多くの市民の皆さんに参加いただくよう、積極的に地域に出かけて話し合い「歩きやすいコースづくり」「観光客へのおもてなし」「郷土愛にあふれる個性豊かなガイドの育成」などに取り組みたいと思っています。
官民協働で進めるために、松江観光協会にまちあるきを推進する組織を設置いただき、市も一緒になって取り組んでまいります。
さらに、本市が誇る松江城や古くから受け継がれてきた伝統芸能など地域資源を最大限活用し、まちあるきの推進と観光地の魅力アップを図ります。
松江城については、現在の調査の現状や今後の方向性などをお伝えし、市民の皆様と協働で国宝化に向け取り組んでまいります。
また伝統芸能については、本年秋に、「松江ホーランエンヤ伝承館」を開館するとともに、ユネスコ無形文化遺産に登録された佐陀神能は、改めて登録を祝い記念公演を開催いたします。今後も伝承されている地域のご意見を聞きながら、伝統芸能の継承・発展を図ってまいります。
さらに、多くの若い観光客が訪れる八重垣神社や玉作湯神社のPRを一層行い、「縁結びの地・松江」のブランド化に磨きをかけるとともに、島根県の「神話博しまね」の開催にあわせ、美保神社や熊野大社など神話に縁の深い地にもスポットをあて情報発信をしてまいります。
外国人観光客の誘致(インバウンドの推進)
昨年、外国人観光客の誘致について決意を申し上げましたが、大震災の発生などにより平成23年の入込客数は、前年比64%にとどまりました。
私は改めて外国人観光客の誘致を促進するために、環日本海諸国や欧米をターゲットに戦略をたて取り組んでいきたいと思っています。
台湾については、牡丹のPRをさらに進めるとともに、新年度は台北市と相互チャーター便による誘客を図るため、先般、台北市長に直接協力をお願いしたところであります。
また、ロシアのウラジオストクは、本年9月にAPECが開催されるなど経済発展が見込まれています。DBSクルーズを活用した物産展を継続し、牡丹、姫ラボ石鹸、来待石などブランド商品をPRしながら観光客の誘致にも繋げてまいります。
さらに、フランスからの誘客を推進するため、フランス人の監修によるガイドブックやホームページの作成に取り組んでおり、新年度はフランスの著名な観光ガイドブック「ブルーガイド」の編集者を招へいし、本市の魅力を世界に発信してもらいたいと思っています。
なお、友好都市交流を再開したニューオリンズにおいては、「小泉八雲造形美術展」の開催を計画しています。
一方、昨年、観光庁から「インバウンドの地方拠点」に指定され、受入環境の充実を検討してきたところであり、観光地を巡る共通乗車券の作成やモデル宿泊施設の受入研修などに取り組むこととしています。
これらの取り組みは、島根県や宍道湖・中海圏域はもとより、姉妹都市尾道市を始めとした山陽都市とも連携をとって進めたいと考えており、出雲・米子両空港や重要港湾である境港を十分に活用してまいります。
本年の施政方針は、3世代が暮らす家にたとえてお話をしてまいりました。家を将来にわたり維持、発展させ家族全員が健やかに暮らしていけることを願い、最後に皆様と共有する将来ビジョンについてご紹介いたします。
宍道湖・中海圏域では、出雲市を加えた5市による新しい市長会がスタートいたします。
各都市の特色ある資源の組み合わせにより、新たなブランド商品や技術開発などが創出されるよう、圏域の結び目である本市がリーダーシップをとって、ビジョンを描いてまいります。
また、総合計画後期基本計画は、新年度から28年度の5年間を計画期間として、本市の全ての施策を体系化して取り組んでまいります。後期計画は、目標人口を現状の208,000人に定め、「定住の促進」「安心・安全」「ポスト400年祭」を重点プロジェクトにしたいと考えています。
一方、「平成の開府元年まちづくり構想」のビジョン懇話会は、日本学術会議の会長でもある大西 隆東京大学教授をはじめ、経済、文化の第一人者にも参画いただき進めています。
歴史や文化を保存・活用しながら、広域連携により圏域で発展したフランス「ナント市」なども例にあげながら、「生産や消費が圏域内で循環・波及する観光戦略」「伝統的な文化・工芸とIT企業を組み合わせた松江発の新産業創出」「伝統文化や工芸の研究機関創設による新たな文化づくり」「高齢者が住みやすい世界的なモデル都市」「歴史的な松江城周辺と近代的な松江駅周辺を結ぶまちなみ」などをテーマに20年後の将来を見据え議論をいただいています。
新年度は、ビジョン懇話会の構想をもとに、市民や議会の皆様と十分に話し合って計画を策定し、皆様と夢を共有することで実現に向け一歩一歩、歩んで行きたいと思っています。
以上、新年度に取り組む主要施策を縷々ご説明いたしましたが、松江市が目指すのは、東京のような街ではないと思っています。
私は、人と自然、そして歴史・文化の厚みの中にだれをも包んでくれる「水都・松江」をつくりあげてまいります。
そして、本日申し上げたことは、取りも直さず市民の皆様へのお約束でございます。約束は守らないと意味がございません。
市議会の皆様をはじめ市民の皆様のご理解とご支援をいただきながら、約束を果たすべく全身全霊をかけて取り組む覚悟でございます。
決心の一端を披歴して、施政方針を終わらせていただきます。