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平成31年度市長施政方針

松江市議会2月定例会の開会にあたり、新年度の市政運営に臨む私の考えと、重点的に取り組む施策について申し上げ、議員並びに市民の皆さま方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

(時代の転換期にあたり)

今年は、30年余り続いた「平成」が終わりを告げ、新たな時代が幕を開けます。「平成」は、高度経済成長期に代表される「モノ」を重視する社会から、「サービス」を重視する社会に価値観が変化した時代であると言われますが、これからの時代はさらに、AIやIoT、キャッシュレス化、自動運転などの先端技術が時代を席巻し、経済成長の鍵を握ると言われています。

既に世界では、自国の生き残りをかけた競争が過熱化しており、わが国も後れを取ることなく、先進的な知識や技術を積極的に吸収しながら、世界における存在感を高めていかなければならないことは明らかです。

一方、国内においても、社会の仕組みだけでなく我々の日常生活が大きく変わろうとしています。2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博など、国を挙げた経済発展の大きな節目が訪れていますが、本年4月から外国人労働者の規制緩和が始まり、10月には消費税率の引き上げや幼児教育の無償化なども予定されるなど、深刻な人口減少問題とともに、様々な変革を迫られています。

本市としても、引き続き世の中の変化の兆候を見逃さず、先をしっかりと見据えながら対応していきたいと考えています。

(地方創生)

特に、今年は本市の第1次総合戦略が最終年度を迎えますので、これまでの取り組みの成果を今一度振り返る必要があります。本市の人口は、現時点では、計画策定当時の推計よりも良い傾向を示していますが、肝心の出生数や出生率が低下しており、本年はさらに長期的な傾向を把握しながら現状を分析し、次期総合戦略の策定に生かしてまいります。

(災害と向き合う)

さて、平成の時代は、災害の恐ろしさを目の当たりにした時代でもありました。阪神・淡路大震災や東日本大震災などの悲しい経験から学んだ教訓は、日頃から「災害は起こるものだ」という意識を常にもって、考え、行動することの大切さです。

本市としても、すべての部局を挙げて災害に備えてはいますが、突発的に発生する大きな災害に対しては、既存の防災インフラや行政主導の対策だけでは対応しきれません。まずは、市民の皆さん自身が「自らの命は自らが守る」意識をもって万が一に備え、行政はそれを全力で支援するという、住民主体の取り組み強化による防災意識の醸成を進めてまいります。

(地方の拠点として)

また、本市にとっての昨年の大きなトピックに、新たに中核市としてスタートしたことがあげられます。住民に一番身近な基礎自治体として約2,000の事務の移譲を受けたところですが、これまで大きな混乱もなく進めることができているのも、市議会をはじめ、市民の皆さまのご協力によるものと感謝申し上げます。

さらに昨年末には、新たに全国82の中枢中核都市の一つに選定されるなど、国からも地方の拠点都市として東京一極集中を打破することなどが期待されていますので、今後も行政サービスの質を一層高め、地方創生の先頭に立ってまいります。

(広域連携)

一方で、国は昨年「自治体戦略2040構想研究会」の報告書において、人口減少社会を乗り切るためには、単独の自治体での取り組みだけでは限界があることを強調しましたが、本市は、既に地方創生の要として全国に先駆けて中海・宍道湖・大山圏域での広域連携を強力に推し進めているところです。

圏域5市の事情はそれぞれ異なりますが、私はこの圏域の発展が各市の発展には絶対に欠かせないと信じています。今後も、継続的なテーマであるインバウンドの推進や産業振興、高速交通網の整備促進をはじめとする目標を圏域の自治体や経済界と共有し、あたかも一つのまちのように、スピード感をもって地方創生を実現していきたいと考えています。

(共創・協働の質を高める)

そして、総合計画の基本姿勢に掲げる「共創・協働」の取り組みをさらに進め、地方創生の実効性を高めるためには、行政と市民が既成概念にとらわれず、戦略的にしっかりとした成功循環サイクルをつくることが必要です。

本市の共創・協働の取り組みは進んできましたが、市民と行政がそれぞれの持ち味を発揮して、今以上に円滑に取り組みを進めることが必要です。お互いにとってより良い成果を導きだすためにも、共創・協働ガイドブックやパンフレットを活用するなどして、「質」をさらに高めてまいります。

市内29地域で行っている「地域版まちづくり総合戦略」も既に10地域以上ででき上がり、地域の住民同士の良い関係が、効果的な取り組みに繋がっているように感じています。今年度は、若手クリエイターや、大学生、地域の若者たちや女性の会の皆さんとざっくばらんな意見交換を行いました。これまでまちづくりの議論に関わる機会が少なかった人々の新鮮な視点は、今後多くの地域で参考にできると感じています。

新年度も、各地域でこうした多彩な人材とともに「選ばれる地域」を目指す取り組みが増えるよう、市も積極的に支援してまいります。

変化に柔軟な「選ばれるまち」へ

今年は、市制130周年の節目を迎えます。地方自治体には、まちの良さを守りつつ、市民の生活の基盤を固め、暮らしの質を高める役割があります。一方で、ふるさとへの人材還流、幼児教育の無償化、さらには教員人事権などのような新たな課題については、従来の行政の発想や手法を変えながら対応をしていかなければなりません。まさに今、この「柔軟さ」が中核市に進化した我々に試されている時期であると思っています。

新年度は、『選ばれるまち松江』の実現のために、これまでの松江の良さに磨きをかけるとともに、今の時代の変化に対応する「柔軟さ」を基本にして、4つの柱、すなわち、「松江を超える、松江をつくる」「松江の未来を切り拓き、新たな可能性に挑戦する人づくり」「移住・定住・関係人口の創出」「安心・安全なまちづくり」を重視してまいります。

1.「松江を超える、松江をつくる」

第1の柱は、総合計画でも掲げている基本理念「松江を超える、松江をつくる」ということです。松江が持っている可能性を様々な分野の皆さまと掛け合わせることで相乗効果を生み出し、新たな価値による経済の好循環を確立して、まちの品格を高めてまいります。

【「松江」×「経済循環」】

(1)”来てほしい”から”選ばれる”観光のまちへ

関連産業のすそ野が広く経済循環の核とも言える観光産業は、国際文化観光都市である松江市にとって、引き続き全力を挙げるべき分野の一つです。

昨年は訪日客が3,000万人に達し、国は2020年には4,000万人を目指そうとしていますが、かたや、島根県の外国人宿泊者数が全国最下位となっているのは大変残念です。本市の外国人観光客は増加傾向にありますが、そうは言っても全国のレベルから見れば大きく出遅れているのが現状です。今後は外国人観光客数というパイをしっかりと拡大するとともに、これを安定的な宿泊者数に確実に結び付けていくことが大きな課題です。

新年度は、国内観光需要が縮小することへの危機感をはじめ、インバウンドの価値や課題を改めて関係者が共有し、戦略的に観光消費額を伸ばしていく年にしたいと考えています。国内外の人に「松江に行きたい」と思ってもらえるよう、今、地域全体の持続的な発展のためには何をしなければならないのか、という思いを皆が共有し、自ら実行しなければ打開策は決して見えてはきません。

そのためにも、かねてより課題となっている本市の観光推進体制を再構築し、従来の行政丸抱えの状態から脱却して、根本的に観光戦略を見直さなければなりません。その要である観光協会のあり方を検討することはもとより、財源として考えている宿泊税についても、宿泊施設関係者の皆さまの理解を得ながら一体的に議論を進めることが不可欠です。新年度は、庁内にこうした課題を検討する担当組織を置き、関係者と粘り強く協議を行ってまいります。

さらに、これまでトップセールスや現地でのプロモーション活動を重ねたことで、昨年大幅な伸びを示したフランスや、米子空港・広島空港などの近隣の空港と結ばれている韓国、台湾、シンガポールなど、主要ターゲット市場からの誘客を一層強化し、戦略的にインバウンドの拡大に取り組んでまいります。

加えて、本市の大きな課題の一つである観光消費額の増についても、観光客の連泊や、滞在時間の延長に欠かせない夜の観光の魅力づくりにしっかりと取り組んでまいります。

本年度から松江城や嫁ケ島などで進めているライトアップの常設化工事を、新年度は、大橋川周辺への拡大も検討するほか、夜神楽の定期公演や音楽祭の開催、忍者に関する体験商品の開発も行うなど、外国人観光客にとって魅力的な夜の観光メニューを提供してまいります。

昨年は、松江城の展示をリニューアルし、お城の中の構造が良く分かるようになったと好評をいただいています。新年度は引き続き松江城天守の耐震補強工事を行うほか、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などの最新技術を活用した体験型の観光を取り入れ、松江城を中心とした文化の魅力を多くの観光客に伝えてまいります。

また、5月には、まさに改元を祝福するかのようにホーランエンヤが開催されます。五大地では後継者不足が悩みとなっていますが、多くの市民の期待を背に、地区外からの参加を募るなどして頑張っておられます。10年ごとの開催という難しさを抱えながらの承継は簡単ではないと思いますが、地元の皆さんの強い思いをしっかりと受け止め、伝統と文化の息づく松江を全国に発信してまいります。

さて、関係者が心を一つにして実現したジオパークの認定から1年が経過しました。次年度はこれをさらに定着させるため、ジオツアーの本格実施やジオブランド商品の販路拡大、地域でのシンポジウムの開催などを進めるとともに、引き続きビジターセンターを核として、この中海・宍道湖・大山圏域の魅力を来訪者や市民に発信してまいります。加えて、昨年試験運航を行った水陸両用機や中海周遊サイクリングロード、大山隠岐国立公園満喫プロジェクトなどの新たな魅力も活用し、関係自治体とも連携して、この圏域全体を使った体験型観光を来訪者の長期滞在に結び付けたいと思います。

(2)農林水産業基盤の確立

続いて、農林水産分野では、本年度策定する「農林水産業振興計画」を新年度は実行に移して、各分野の振興を図るとともに、市内での「地産地消」の経済循環サイクルをさらに高めてまいります。学校給食での地場産野菜の利用も増え始めているほか、市内の宿泊施設などでの利用や地元スーパーとの提携なども進み、次第に成果が出ていますので、今後は、地場産品に関するマーケティングをはじめ、積極的に活用してもらえる飲食店などの協力者を増やしていくことにも力を入れてまいりたいと考えています。

農業分野では、松江の強みとなる品目を中心に産地化をさらに進めて、収益の向上を目指します。農業は設備の初期投資が新規参入のハードルである一方で、AI、IoTなどの最先端技術の導入による省力化や高品質化に適しているとも言われます。リースハウスの活用やスマート農業などの設備投資を支援して新規就農を進め、若者が就農しやすい環境づくりに取り組んでまいります。

加えて、水産業においては、先般の漁業法の改正によって養殖や定置網への新規参入ができるようになります。漁業は後継者不足が叫ばれる業種の一つですが、本市が日本海や宍道湖・中海に面しているという、奇跡にも近い自然のメリットを十分に生かすことが我々の世代の役割であると思います。今後、関係者の皆さまとも膝を交えた協議を行い、持続可能な漁業振興を支援してまいります。

さらに、4月からは、森林環境譲与税を今後の財源として新たな森林管理システムがスタートします。林業経営に適した森林は意欲と能力のある経営者に繋ぎ、個人で管理できない森林は市が管理を行うこととされています。まずは、対象となる森林の実態把握を行い、関係者による新たな組織を立ち上げて今後の管理方針を策定してまいります。

(3)時代に呼応した産業振興

さて、今やキャッシュレス化の流れは世界標準となっており、インバウンドの消費効果を取り込むためにも避けては通れません。国内でも既に普及が進みつつあり、程なく我々の生活には欠かすことのできない技術分野になることと思います。昨年末には圏域の経済界が主体となってキャッシュレスの検討委員会が立ち上がりました。今後、本市も体制を整え、経済界などと連携を図ってまいります。

そして、引き続き松江がRubyの聖地であることを強くアピールしてまいります。近年は、IT企業が次々と松江に進出していますし、県内のIT関連企業の団体では、高校のクラブ活動への支援も検討されていると聞きます。IT企業に魅力的な地域であるということは、高校や大学などでITを学ぶ若者の進路選択においても大きな魅力となります。本市でも、昨年はオープンソースラボの改修工事を行い、ITエンジニアのイノベーションを引き起こす環境をより充実させました。

インドとのIT人材の交流も毎年活発化し、少しずつではありますがインドからの地元企業への採用に繋がっていますので、引き続き企業の皆さまのご理解も広げながら、IT人材の育成を進めてまいります。

また、市内の中小企業などの振興については、次の6月議会での提案を目途に、「中小企業・小規模企業振興基本条例」の制定作業を行っているところです。豊富な地域資源を活用し、地域で生産・製造・加工された産品等の有効活用を進めるほか、長年培った企業の技術などの次世代への承継を進め、中小・小規模事業者が未来に向かって挑戦できる環境づくりを進めてまいります。

あわせて、次期「中心市街地活性化基本計画」の策定も行い、中心市街地の再活性化についても検討してまいります。

本年は10月に消費税率の引き上げが予定されており、低所得者や子育て世帯への影響などが心配されているところですが、これに伴い導入されるプレミアム付商品券については、市の体制を整え、遺漏のないように事業を進めてまいります。

加えて、法改正により今後増えるとされる外国人につきましては、相談窓口となっている国際観光課をもっと周知し、関係部署が連携して仕事や暮らしの困りごとの解決にあたってまいります。

【「松江」×「品格」】

さて、松江は、歴史に彩られたまち並みと市民の生活の営みが調和し、風情や品格があると言われ、それが市民の誇りとなっています。今後も、長い年月をかけて形作られた価値を守り続けると同時に、一方では、スポーツや文化を戦略的にまちづくりに活用するなどして、まちの新たな魅力を創出します。

このため、新年度、スポーツ・文化のあり方について、政策部内に担当部長を配置し、分野横断的に検討することといたします。

(1)市制130周年

まず、市制130周年事業については、秋に記念式典を開催し、これまでの市の歩みを振り返るとともに、未来に向けたまちづくりを改めて考えるきっかけにしたいと考えています。昨年は不昧公200年祭に併せ、市民憲章の精神の基礎となっている不昧公ゆかりの茶の湯の心を「おもてなし宣言」として表しましたが、この取り組みを一過性のものにせず、市民の日常に定着するよう、身近なおもてなしの輪を広げていきたいと思います。

加えて、本年は海外の友好都市との周年記念行事が重なります。これを機に諸外国との交流と相互理解を促進するとともに、幅広い視野で松江の魅力を世界に発信できる次世代の人づくりを応援してまいります。

(2)都市機能のデザイン

次に、都市機能については、昨年、都市マスタープランを改定し、市全域のまちづくりの基本方針を策定したところです。また、今年度内には「立地適正化計画」も策定し、既存インフラを最大限に生かした定住促進や雇用創出の視点で、居住や都市機能の集約に適したエリアをお示しすることにしています。次年度は計画の周知と各種施策を実践してまいります。

まずは、空き家や空き土地を活用するエリアリノベーションを進めます。遊休資産の活用によるまちの機能の再構築は、人口減少の進む地方都市にとっての共通課題です。不動産業界とも連携して実態調査を行うほか、リノベーション講座の開催やまち歩きイベントなどを通じて、若者が主役となる持続可能なまちづくりの仕組みと、それを支える人材育成を進めてまいります。

また、かねてより懸案の殿町・JR松江駅前の再整備については、現在、国や県、JRなどの関係者と意見交換を行っており、引き続き関係者と具体的な課題を洗い出し、早期に解決できるよう検討を進めてまいります。併せて、交通系ICカードの導入可能性などの総合的な交通サービスの改善についても検討を進めます。

さらに、緑地保全や緑化推進のための「緑の基本計画」を改定します。今後はパークPFIなど新たな公園の利活用方法も取り入れて財源を確保するとともに、民間のアイデアによって市民の利便性が高まり、生活を楽しむ場が増えることを目指してまいります。

そして、長年基本計画止まりとなっている山陰新幹線・伯備新幹線については、市議会議員連盟の皆さまとともに早期に整備計画に格上げされるよう、引き続き国に強く要望をしてまいります。特に伯備新幹線については、昨年、中海・宍道湖・大山圏域の5市で整備促進の準備会を発足させ、5月には正式に推進組織を立ち上げる予定ですので、関係自治体はもとより、議会や経済界の皆さまとも一層連携を深めて実現に向けて取り組んでまいります。

(3)スポーツ振興

さて、昨年4月にスポーツ行政の担当部署を政策部に移しましたが、新年度はさらにスポーツ施策をまちづくりや健康づくりに活用する取り組みを分野横断的に進めてまいります。

スポーツの活性化は、競技人口の増加はもとより、楽しみながらの健康づくりや感動体験を通じた人と人の交流の深まりなどにも繋がります。さらには、宿泊や買い物を通じた経済活動にも大きな効果が期待されますので、新年度は「スポーツ振興計画」の改定を終え、各施策分野が本格的に連携を図って、スポーツを松江の魅力の一つに織り込んでまいりたいと思います。

昨年12月には本市主催で「国宝松江城マラソン」を開催し、県内では14年ぶりのフルマラソンに全国から5千名を超えるランナーが集まり、松江のすばらしさを走りながら実感してもらいました。また、バスケットBリーグの島根スサノオマジックの奮闘に加えて、サッカーでは松江シティFCのJFL昇格が決定し、松江を拠点とするチームの全国的な活躍に市民の期待が高まっています。今議会の予算でも提案していますが、市としても有利な財源を積極的に活用しながら、ハード・ソフトの両面からスポーツによるまちづくりを進めてまいります。

さらに、2029年の2巡目開催が内々定した国体については、島根県に対して開催機運の醸成や開催に向けたスケジュール等を早急に示すよう引き続き働きかけを行うとともに、大会開催を今後のまちづくりに生かしていけるよう県など関係機関と協議を行ってまいります。

(4)文化振興

続いて、文化振興についてです。

一昨年前の所信表明で申し上げたとおり、「人づくり」は市民の文化力によって支えられています。これからは昔から培われてきた文化の価値を高めていくのと同時に、新たな文化も育成し、松江のまちの品格を高めていくことが重要です。

新年度は松江らしい文化の姿や、そのことがもたらす価値について改めて考え、今後のまちづくりや人づくりの中でどのように発展させていくかという文化行政のあり方そのものについて検討します。

さて、「不昧公200年祭」の初年度である昨年は、市民・企業・行政の共創により市内各所でお茶席が開かれたほか、不昧公にちなんだ和菓子や創作料理、抹茶カクテルなどが松江の食の楽しみに彩りを添えました。さらに、茶の湯遊覧船や若者向けのカジュアルな茶道具が人気を集めるなど、これまでにはない新たな視点で様々な試みが進んだ年でもあり、「不昧公で気持ちが一つになった」と誰もが声を揃えられ、不昧公の遺徳や功績をともに感じることができた一年となりました。

この流れを後押ししていくため、今議会では「茶の湯条例」の制定を提案させていただきました。不昧公が基礎を築き、今日まで我々の生活の中に承継されてきた茶の湯文化に光をあて、国内外に発信してまいります。

さらに、この秋には松江の茶の湯文化のシンボルである菅田庵の改修工事も完了する見込みであり、不昧公200年祭がファイナルを迎える本年は、これからも茶の湯文化が市民生活に溶け込み、関連する産業の発展に繋がるよう取り組んでまいります。

また、ユネスコ無形文化遺産でもある佐陀神能の舞殿の改修支援も行われます。世界に誇るべき松江の文化遺産を後世に伝えていくために、市も支援を行ってまいります。

音楽の分野では、松江クラシックス音楽祭が継続的な市民主体のイベントに育つよう、引き続き関係者の皆さまとの共創により、音楽によるまちづくりを進めてまいりたいと思います。

併せて松江の文化の殿堂でもある総合文化センターは引き続き改修の検討を進めるほか、アルバホールについても天井の耐震性確保のための改修工事を行ってまいります。

2.松江の未来を切り拓き、新たな可能性に挑戦する人づくり

第2の柱は、「松江の未来を切り拓き、新たな可能性に挑戦する人づくり」です。

出生数の減少の原因は、若い女性の首都圏への転出や婚姻率の低下などの現代社会の課題が複雑に絡み合っていますが、これを少しでも食い止めるために出産前後の支援をはじめ、子育てや幼児教育、学校教育など、引き続き関係部署が連携して施策レベルを高め、出生数の増に繋げるとともに、新しい時代を担う子どもたちの能力を伸ばしてまいります。

(1)安心して出産できる環境を支える

まずは、安心して子どもを産むことができる環境を整えるために、一般不妊治療費助成制度を改正し、妊娠・出産を望む方の願いが少しでもかなうよう支援を行います。

また、出産後の保健師や助産師による全家庭への訪問に加え、近年増加傾向にある「産後うつ」への対応も強化します。新年度は、母子の心と体のケアを行うデイサービス型の産後ケア事業を始めることとし、産後も安心して子育てができるよう支援体制の充実を図ります。

 さらに、昨年から風疹の全国的な流行も予見されていますので、国の抗体検査の制度に加え、妊娠を希望される女性などへの予防接種に対しても市独自の支援を行います。

(2)松江らしい幼児教育の推進

さて、制度の詳細が定まらない中、新年度には幼児教育の無償化が始まります。市としては10月からの制度が適正に運用できるよう、必要な準備を進めてまいります。

また、本市はこれまで、喫緊の課題である待機児童の解消を目指し、保育所施設整備によって入所定員の増を図るほか、幼稚園の空き教室を活用した緊急一時預かり事業や企業主導型保育施設の整備支援を進めるなど、子育て中の親への支援を中心に行ってきました。

新年度はこれに加え、未来の主役である子どもたちが、生涯にわたる「生きる力」の基礎を育むことができるよう、乳幼児期の良好な親子関係の構築と保育所・幼稚園における地域連携を基本に据えた松江らしい幼児教育について検討を進めます。

本年度立ち上げた外部委員会では、民間事業者の育成や市民を巻き込んだ意識の醸成、地域連携強化などについて話し合っています。そこで出た具体策やひとり親家庭などの支援が必要となる家庭への取り組みも、新年度策定する「子ども・子育て支援事業計画」に反映したいと考えます。

(3)「学び力」のステップアップ

そして、有り余るほどの情報や価値観に囲まれた現代の子どもたちにとっては、幼児期に培った「生きる力」を土台に据え、さらに、自分の人生にとって必要な情報を整理し、課題を見つけ、自分で考えをまとめて相手に伝えるという発展的な力も欠かせません。

また、今後は、国や立場が異なる者同士が互いを理解し合い、合意形成を図って新たな価値を生み出すことも一層必要となってきます。学校現場では、こうした「学び力」の育成に力を注ぐとともに、引き続き、学力向上をはじめとする諸課題の解決を粘り強く進めていきます。

学力向上対策では、子どもたちが苦手とする算数や数学を中心に学習の弱点を改善するためにも、引き続き「まつえ『子ども夢☆未来』プロジェクト」を推進してまいります。習熟度を踏まえた学習指導などをはじめ、指導主事による学校訪問指導や研修などを通じて指導力の向上にも取り組んでまいります。

加えて、小中学校でのIT活用についても、Rubyを活用するプログラミング授業などを通じて、時代に適応できる人材育成を進めていきます。

一方で、学習の習慣づけや学びの場の提供として地域単位で行っている「松江てらこや」事業については、現在の11地域を、取り組みを支える住民や大学生など協力者の輪を広げることで、さらに拡大したいと考えています。

あわせて、生活困窮世帯の子どもたちの学習支援についてもきめ細かに対応してまいります。

学校の教育環境については、小中学校の普通教室へのエアコンの整備計画を前倒して来年度中に整備を終えます。加えて、南学校給食センターの建設事業は来年4月の開所を目指すほか、玉湯まがたま学園については造成工事を終え、2年後の開校を目途に建築工事に着手します。

また、児童クラブについては、本年度新規建設によって乃木クラブの定員が4月から増員となります。引き続き、地域にお世話になっている公設クラブに加えて近年増加傾向にある民間クラブも支援するなどし、量の確保や選択の幅を増やします。さらに、クラブと子ども教室等の一体化による指導員の安定雇用策の検討を進めるなど、地域における子どもの居場所環境を整えてまいります。

そして、市立女子高については、新年度に向けて市独自で教員を採用します。先々は英語を重点化した学科の新設や友好都市にある杭州第14中学への留学なども視野に入れ、国際感覚を身につけ、海外の国々と対等に渡り合える人材を育てていくことで魅力を高めてまいります。

懸案の教員人事権の移譲については、島根県や県内市町村との会議の中で、引き続き本市の考えを丁寧に説明し、県内市町村の理解を得ることができるよう、粘り強く努力をしていく考えです。

 あわせて、学習支援員や非常勤講師を活用して教員の負担感を減らすとともに、現在国で進められている「教員の働き方改革」についても本市の実態を踏まえ、今後、業務の精査や効率化を進めたいと思います。

3.移住・定住・関係人口の創出

第3の柱として、松江の活力を支える若い年代の移住や定住促進をはじめ、松江との関わりを持ってくれる人々との関係人口づくりなどを進めてまいります。

昨年までの人口推移を見ると、進学や就職を理由とした若者の県外転出は止まる気配は無く、市内には規模が小さいながらも優れた技術や個性豊かな企業がありながら、深刻な人手不足が続いています。

本年度は地元企業情報のウェブサイトを通じた発信のほか、インターンシップのマニュアルも作成しているところですが、昨年末に行われた「しまね大交流会」をはじめとして就職前の早い段階から将来の仕事や社会での役割について考えてもらえる機会をつくり、地元の企業をもっと知ってもらう必要があります。引き続き県や地元企業、大学などとも連携を深め、若者の興味や関心にマッチした情報発信になるよう努めてまいります。

また、若者には「働く」という視点だけでなく、将来の自分の生き方を考えるライフキャリアの視点も欠かせません。学校でのふるさと教育はもちろんのこと、結婚についても積極的に考えてもらうことが必要ですので、関係機関や地域・事業所などとプロジェクト体制を設置し、市が連携のハブとなって、総合力で結婚に向けた機運醸成を図ってまいります。

加えて、都会とは違う松江の良さを具体的に伝えたいと考えています。本年度はシティプロモーションのためのアンケート調査を行いました。次年度はこれをもとにUIターンの働きかけを行うターゲット層を戦略的に絞り、松江暮らしの魅力が伝わる動画を作成するなどして情報発信を強化します。さらに、新たに東京圏からの移住を希望される人に対しては、国の制度を活用して移住資金の支援なども行います。

さて、本年度で地域おこし協力隊の1期生が任期を終えますが、退任後も引き続き本市で活躍してくれると聞き、頼もしく思っています。他にも縁あって都会から移住された方の中には、ゲストハウスやカフェ、農業など、自分の趣味を生かして活躍されている方々がいらっしゃいます。移住前の不安感や地域の人との交流の喜びなど、移住者の気持ちを一番よく理解しているのはそうした人々であり、後に続く移住者が松江での生活に早く馴染むための拠り所になっていただくためにも、UIターン者と地域の良い関係づくりを進めていく考えです。

併せて、首都圏などに在住する人々との関係人口づくりも進めます。松江にゆかりのある団体を通じて関係を広げていくことはもとより、スマートフォンのアプリを活用した松江ファンクラブの会員登録、首都圏の大学と連携したフィールドワーク活動など、様々な形で多くの人々に松江に愛着を持ってもらえるよう情報発信してまいります。

4.安心・安全なまちづくり

第4の柱は、安心・安全なまちづくりです。安心・安全は地方創生を支える基盤として分野横断的にしっかり取り組む必要があり、市の各部局が積極的に縦割りを廃し、施策の目的を共有して連携を強めてまいります。

(1)災害に強いまちづくり

その最優先に位置付けているのが防災対策です。

災害発生の直後に行政ができることは、どうしても限られます。そのような時は、普段から顔の見える関係を築き、地域で互いに助け合うことが大変重要です。特に、身近な町内会・自治会などによる自主防災組織が地域の安心・安全を担うことは、多くの住民にとって住み慣れた地域での安心感や信頼感に繋がります。さらに、自主防災組織は災害時のためだけでなく、平常時の要配慮者支援組織の構築や、町内会・自治会などの組織への加入のきっかけにもなるはずです。

現時点で約70%という市内の自主防災組織の結成率を一層高めることも急務です。市としては、各地域の皆さんに「防災士」として自主防災組織結成のリーダー役を担っていただくために、新年度、防災士の資格取得のための支援を拡大することにしました。加えて、好評いただいている防災出前講座や、救急救命の講習会などもぜひ活用していただき、市民の皆さん一人一人が身近な地域のためにスキルアップされることを期待しています。

一方、災害を未然に防ぎ、被害を最小限度にとどめるための「国土強靱化地域計画」の策定をさらに進めるなど総合的な防災対策も強化してまいります。本年度は防災情報共有システムの整備のほか、津波や河川の定点監視カメラの設置も行っていますので、今後は、刻々と変わる災害現場の情報を本部でリアルタイムに得ることができるようになります。次年度には特に2年連続で避難を余儀なくされた意宇川流域において、地域の協力のもと水防訓練を行うこととしているほか、秋には全市を対象とした防災イベントを開催し、災害時に取るべき行動を普段から市民の皆さんと共有するなどして、いざという時の力を高めてまいります。

加えて、本年度は「災害廃棄物処理計画」を策定しましたので、日頃から災害発生の状況をイメージした訓練などを行い、万全の体制を整えていきたいと思います。

そして、大橋川改修については、国や県とも連携し、家屋移転や護岸整備を進めるとともに、白潟地区など背後地のまちづくりの計画策定を行います。

また、本年度から県とともに始めた土砂災害特別警戒区域指定の地元説明については、次年度も引き続き実施し、説明を終えた地区から該当エリアを指定するなど、災害から市民の命を守れるよう周知徹底を行ってまいります。

さらに道路整備については、引き続き揖屋馬潟線の推進をはじめ、境港出雲道路の一部である松江北道路の早期事業化に向け県とともに鋭意取り組みます。また、一大事業であった古浦西長江線についてもトンネルが貫通しましたので、今後も関係者との協議を丁寧に進め、早期完成に向けて事業を進めます。加えて、橋梁、トンネルなども引き続き点検と修繕を着実に行い、長寿命化を図ってまいります。

島根原発につきましては、事業者に対して、市民の安全を第一に1号機の廃炉作業を進めること、そして2号機と3号機については、国の審査に適切に対応するとともに、適宜、市民へ情報提供するよう求めていきます。また、審査を行う国に対しては、市民の安全確保の観点から、最新の知見を踏まえ厳格な審査を引き続き求めてまいります。

(2)人生100年時代を見据えた健康づくり

続いて、2つには、人生100年時代を見据えた健康づくりです。国内の平均寿命は過去最高を更新し、今後、私たちは人生100年時代を見据えて、健康寿命をさらに伸ばす取り組みを続けなければなりません。

4月に保健所を設置し、医療人材や介護人材の研修の質を上げることができましたが、これも医師会や歯科医師会、薬剤師会をはじめとする関係者との強いネットワークによる効果であると実感しています。これに加え、市が権限を持ったことで、市民からの様々な相談に対しても関係部署が連携し、従来よりもスムーズな対応が可能になりました。新年度は、これまで市が行ってきた保健センターの健康づくりの取り組みとの連携を一層進め、保健所設置のメリットをさらに生かしてまいります。

また、引き続き、がん対策などの青年期・壮年期の生活習慣病予防対策をはじめ、高齢期の介護予防と重度化防止に取り組むほか、医療機関や地域、職域などの関係者とともに「健康まつえ21基本計画」に基づく全世代を通じた心と体の健康づくりを進めてまいります。併せて、国民健康保険事業においても特定健診の受診率向上に向けて自己負担の無料化と受診期間の拡大を行います。

加えて、2020年4月には受動喫煙防止をさらに強化する改正健康増進法が施行されますので、受動喫煙対策を市民運動として取り組み、市民はもとより、すべての来訪者にとって快適で健康なまちを目指してまいります。

(3)持続可能な循環型社会への取り組み

 3つには環境問題の解決が挙げられます。我々の目指すべき社会は、環境への負荷低減と経済成長を両立させ、自然と人間が共存する循環型社会です。「環境主都まつえ」の実現に向けて、担当部内に政策部門を新設して戦略的に環境施策を進めてまいります。

シェアリングエコノミーをはじめとした環境型社会の産業創出、再生可能エネルギーの活用研究や実践を通じたエネルギーの地産地消、4Rなどの環境に配慮したライフスタイルイノベーションなど、新たな時代の環境施策に分野横断的に取り組んでまいります。

また、水環境の保全と活用にも力を入れてまいります。ラムサール条約登録湿地であり、島根半島・宍道湖中海ジオパークの魅力の一つでもある宍道湖や中海という貴重な資源を後世に引き継ぐため、専門分野の方とも連携を深め、水質改善や水草対策などの課題解決にさらに取り組んでまいります。

そして、ごみの問題は放置できない切実な課題であることをご家庭でも話し合っていただくなど、全市を挙げてごみの減量化と分別の徹底に取り組むために、きめ細かに地域での説明会を実施してまいります。併せて、最終処分場の今後のあり方についても、早いうちから先を見据えて方向性を出したいと考えています。

(4)行財政基盤の強化

4つには、持続可能なまちづくりを支える行財政基盤の強化にも引き続き取り組みます。

中でも公共施設の適正化については、第1期計画の中間年である本年度は、新たな施設を加えた100余りの施設を適正化の対象とし、そのうち半数については既に譲渡や統廃合を行いました。新年度は組織体制をさらに整え、施設の長寿命化を含めた適正化を着実に進めてまいります。

同時に、市民サービスと安心・安全の拠点である新庁舎の整備については、基本設計で具体的な機能を定めることとしており、2020年度中の工事着手に向けて鋭意事業を進めてまいります。

そして、新年度は市の行革大綱の改定の年にあたります。保育所の入所判定などでのAIの活用の可能性や、市の業務の効率化・自動化、民間活力との連携などについてもさらに研究するとともに、業務のPDCAサイクルも徹底するなどして、市民サービスの質の向上を図ります。併せて、市民の大切な財産である行政文書や歴史史料などの公文書の在り方についても、本年度に検討委員会で策定する基本構想をもとに見直してまいります。

また、先に申しましたとおり、政策部の中に新たに担当部長を置き、地域振興分野の体制を強化します。市内各地域の活性化やジオパークの利活用をはじめ、スポーツ・文化の振興をまちづくり全体にどのように生かしていくかということについて組織横断的に検討してまいります。さらに、中核市市長会や圏域市長会、中枢中核都市などの広域的な施策についても関係自治体などと連携を深め、一層強化してまいります。

さて、現在、中核市への移行を踏まえて、外部からのご意見をいただきながら市職員の「人財育成基本方針」の改定を行っており、採用計画や研修計画とも整合を図りつつ策定することにしています。担当業務にかかる専門知識の向上だけでなく、仕事の上で欠かせない「課題を見つけ、解決する力」を持つ職員を育成してまいります。

このほか、会計年度任用職員制度の導入や、公務員の定年延長の議論なども今後控えておりますので、これらについても、滞りなく情報収集や準備を進めてまいります。

おわりに

以上、新年度に取り組む主要施策を説明させていただきましたが、この「改元」という節目は次世代の自治体のあり方を考える大切な機会でもあります。

新年度は市民の皆さまとの共創・協働による地方創生をさらに進化させ、『選ばれるまち松江』の実現のため、一層心血を注いでまいりたいと存じますので、市議会の皆さまをはじめ、市民の皆さまには、引き続きのお力添えをいただきますよう、お願い申し上げます。

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