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平成30年度市長施政方針

松江市議会2月定例会の開会にあたり、平成30年度の市政運営に臨む私の考えと、重点的に取り組む施策について申し上げ、議員並びに市民の皆様方のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

【中核市としての新たなスタート】

はじめに中核市について申し上げます。

松江市はこの4月からいよいよ中核市となります。中核市への移行によってこれまで県が担っていた事務のうち市民に身近な事務のほとんどを松江市が担うことになりますので、新たな権限と同時に責任も負うことになります。

改めて言うまでもなく、松江市の最大の課題は人口減少対策、特にまちの魅力の追求です。この中核市への移行によって身近な市民サービスをさらに向上させ、住みやすさを高めることによって地方創生をより良い方向に向けていこうと考えております。

中核市は都道府県の権限の中で福祉や医療、環境などの権限を受けることになりますので、特に従来からの重点施策である子育てや健康づくりなどについては専門性を高め、行政サービスの質をさらに高めてまいります。一方で、市の部局の分野横断的な連携を徹底し、データに基づいた分析を活用することにより、着実な課題解決を図ってまいります。

新たなスタートラインを目の前に控え、今一度気を引き締めなおし、共創・協働の理念のもと、市民や地域、企業などの関係者の皆様と市の総力を挙げて持続的なまちづくりに取り組んでまいりたいと思います。

 

【キーワードは「連携」】

人口が増加していた時代は、経済成長と大量消費によって富を生み出す拡散型の社会でしたが、人口減少時代に突入し、これまでの価値観をそのまま踏襲していては、より複雑化した課題に対応できないことがわかってきました。これからの社会は、拡散型社会から持続的な循環型社会への転換が必要であり、その循環の輪の中にいる人々が、互いに連携していくことが欠かせません。様々な課題を乗り越え、新たなまちづくりを進めるためにも、市民の皆様と共有しなければならないキーワードは、この「連携」であると考えております。

「地方創生」という大きな目標に向かって、様々な立場の関係者が連携し、自らが主体となる覚悟をもって行動していくことが重要になります。

(広域連携)

まず、連携の柱に置くのが中海・宍道湖・大山圏域市長会を核とした広域連携です。5市による市長会が結成され早6年、インバウンドの取り組みや医工連携など新たな試みにもスケールメリットを生かして取り組んでまいりましたが、その役割や今後の目標は常に最善のものを目指して検証し、価値観を共有しなおしていく必要があると思っております。どんなに良い事業でも構成する5市全ての賛同を得るまで待っているのではせっかくの好機を逃す場合もあります。圏域の発展という大きな目的さえしっかりと共有していれば、事業のテーマごとに合意が整った市から先行して取り組み、次第に圏域全体に広げていくなどのスピードを重視した弾力的な運用も必要でしょう。各市の強みを存分に発揮するためにも、圏域唯一の中核市となる松江市が率先してチャレンジしてまいります。

昨年末には「島根半島・宍道湖中海ジオパーク」の認定という、この圏域ならではのうれしいニュースがありましたが、これは、島根大学の取り組みに松江・出雲の両市や経済界、そして地元の皆様が連携して取り組んできた成果といえます。

今後は、IT大国のインドをはじめとした海外との交流についても、現地での日本語教育の推進など、大学や経済界との連携をさらに強めてまいります。

昨年10月には、新たに広島とシンガポール間の直通便が就航したことを受け、森脇議長とともにシンガポールに出向きトップセールスを行いました。今年に入ってからは、早速、運航会社であるシルクエアーの関係者がこの松江を視察で訪れるなど、インドネシアやインドなどとも繋がる東南アジアの重要拠点への足掛かりができつつあります。今後、大きな伸びが期待できる東南アジアからの新たなインバウンド市場の開拓を進めてまいります。

(市議会との連携)

また、この地域の発展の重要課題でありながら、40年間進展をみていない「山陰新幹線」や「伯備新幹線」の整備促進、そして「境港出雲道路」の整備促進について、昨年末、市議会において議員連盟が設立されました。議員の皆様には心強い後押しをいただいていることに改めてお礼申し上げます。

今後はこれを一つの契機に、地方の実情や松江市が抱える重要課題について、市議会の皆様とよりいっそう連携し、早期の実現に向けて努めてまいりたいと思っております。

(多様な関係者との連携)

さらに、国内外の多くの方に松江市を好きになってもらい、市民にもこの松江で過ごすことの充実感やまちの可能性を感じてもらうためには、様々な立場の人たちがこれまで以上に互いに関わっていくことが必要です。

これからの時代は、行政が以前のように一律で横並びな施策をお膳立てするのではなく、民間のやる気に溢れた主体的な取り組みが成功事例を生み、それを関係者が自ら展開させていくことが重要です。市もそのための情報提供やコーディネート役などを積極的に担ってまいります。

(市内部の連携)

もちろん、こうした連携を深めていくためには、先ず、市役所内部の仕事が縦割りではどうしようもありません。部局を横断したプロジェクト会議などでしっかりと議論するなどして、これまで以上に連携して業務にあたってまいります。

あわせて、中核市への移行を一つの契機として国や県ともさらに協力体制を強めてまいります。

「選ばれるまち」への総力戦

平成30年度は、この「連携」をキーワードに、『「もうかる産業」へのバージョンアップ』と『松江を支える人づくり』『「松江だから安心」を貫く』の3つをポイントにして、松江市民の総力を挙げて「選ばれるまち松江」の実現に取り組んでまいります。

1.「もうかる産業」へのバージョンアップ

【地産地消アクションプランーもうかる農林水産業】

1つ目は『「もうかる産業」へのバージョンアップ』です。

松江市が国内外から「選ばれるまち」となるためには、市内の経済活動を活性化し、産業基盤を強固にすることで、松江のまち全体の付加価値を高めていくことが必要です。そして、市内の産業がもうかるしくみを確立し、若者の地元就職を促進する必要があります。

とくに、平成29年度は農林水産業の地産地消に係るアクションプランを策定しましたので、引き続き関係者と連携して、もうかる農林水産業の実現に取り組んでまいります。学校給食や旅館、福祉施設など安定した消費先と繋がる契約栽培を推進するほか、松江産の食材を率先して使ってもらえる飲食店や旅館などを地産地消の応援事業所として認定する制度を導入してまいります。

地産地消によって農林水産業が活性化すれば、6次産業など新たなビジネスチャンスにもつながり、若者にとって魅力的な産業となり得ます。都会の若者たちが気軽に松江の生活を楽しみながら生産活動に関われるような機会も提供していこうと考えています。

先ずは、地元生産物を地元で消費する循環の成功事例を創り、それを生産者に示して、成長の伸びしろがある産業であることをわかってもらうことが大切です。関係者がバラバラに取り組むのではなく、大きな共通目標を念頭に連携することが大切ですので、そのコーディネートができるような体制を整えてまいりたいと思っております。

 

【観光産業の拡大】

また、「地産地消」によって産業を成長させていくためには、地域内の経済循環だけでなく、地域で生み出した価値を地域外の方に消費してもらい、市内に外貨を呼び込むこともあわせて行う必要があります。言うならば「地産外消」です。この視点に立ち、すそ野の広い産業分野である観光産業を拡大し、地元への経済効果をさらに高めてまいります。

昨年は中海・宍道湖・大山圏域にDMOが立ち上がり、インバウンドの視点での広域的な観光プロモーションや受け入れ環境の整備などの基盤が整いました。「大山隠岐国立公園満喫プロジェクト」や、「島根半島・宍道湖中海ジオパーク」の認定に加え、本年は「大山開山1300年祭」など県境を跨いだこの地域ならではの特徴ある節目のイベントも開催されることになっていますので、島根・鳥取両県で構成する山陰DMOと連携し、この地域のブランド価値を高める良いタイミングだと思っております。

今年の6月には、いよいよ中海で水陸両用機が就航する予定です。水上での離発着の楽しさに加え、空からの観光ツアーや、ジオパークの紹介を行うことができれば、この地域を訪れていただく動機づけとしても、いっそう大きな魅力となります。まずは安全で確実な運行開始に向けて準備を進めてまいります。

また、インバウンド対策として、広島と松江を結ぶワンコインバスを走らせていますが、台湾や香港からの旅行客を中心に情報が広がり、次第に定着しつつあります。新たに就航するシンガポール便も念頭に置くとともに、ゴールデンルートをたどり広島まで訪れた外国人観光客に、この圏域にも足を運んでもらうため、圏域DMOを中心に、引き続き山陽方面との南北軸でのタイアップを強化して効果的なPRを図ってまいります。

そして何より、本年は松平不昧公の没後200年という節目に当たりますので、「不昧公200年祭」を松江観光の核にして取り組んでまいります。記念茶会の開催や国宝の井戸茶碗をはじめとする茶道具の企画展示、茶の湯をテーマにしたまち歩きなどを開催する予定としております。また、これらのイベントを一過性のものに終わらせるのではなく、これを契機として、本市を訪れた人々が、通年で市内どこでもお茶を味わえ、松江の風情を感じていただけるよう、また、市民にとっても松江の文化の代表格ともいえるお茶の文化を次世代にしっかりと引き継ぐことができるよう取り組んでまいります。

さらに、来年5月には10年ぶりに日本三大船神事の一つである「ホーランエンヤ」が開催される予定です。現在、関係者の皆様と一緒に準備を進めていますので、来年の本番を目がけてPRと盛り上げを図ります。

本年はJRとタイアップした山陰デスティネーションキャンペーンにも取り組みます。本キャンペーンの高い情報発信力を最大限に生かし、首都圏や関西圏などの大都市圏に向けてこうした松江市や圏域の魅力をさらに積極的にPRしてまいります。

一方で、現在、地域商社の組織体制などについても検討を進めていますが、早期に設立し、市内の観光産業と、関係する様々な分野とのコーディネート役として松江の魅力をブランド化して稼げる産業を確立してまいります。

さて、国や東京都は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、消費拡大のカギとなる訪日客の夜の観光ニーズについて調査を行うようです。「松江市は観光地でありながら、夕方早い時間に店が閉まってしまうので、夜になると出かける場所がない。」と松江を訪れた方から指摘を受けることがあります。現在は水燈路やゴーストツアーなどの取り組みが観光客から好評を得るようになってきましたが、夜の観光の魅力アップという点ではまだまだ課題は多いと感じています。本市においても、松江の食と伝統芸能や音楽などのエンターテイメントをうまく組み合わせた松江の夜の楽しみや、連泊や長期滞在も意識した観光メニューなど、商工会議所や商店街などの関係者の皆様とも知恵を出し合って研究・開発してまいりたいと思います。

観光産業はまちの魅力そのもので、その核となるのは住んでいる人々の魅力です。松江を訪れる誰もが気持ちよく滞在でき、親しみを持って再び訪れたいと思ってもらうためにも、身近にできるおもてなしの取り組みを全市に広げていきたいと思います。外国語表記の看板やメニュー、簡単な手話や英会話、イベント後の清掃活動など、企業や地域、市民一人ひとりができることから取り組み、宿泊客250万人の達成を目指してまいります。

2.松江を支える人づくり

選ばれるまちの実現のために取り組む2点目は『松江を支える人づくり』です。

(きめ細かな学力向上の取り組み)

本市が取り組む次世代の人材育成の基本は、先ず、学力向上です。子どもたちの基礎的な学力をつけることと同時に、意欲のある子どもの力をさらに伸ばすなどのきめ細かな対応が必要です。次年度も地域の皆様のご協力のもと、松江てらこやの実施個所を広げ、家庭の状況に関わりなく子どもたちが学習習慣を身に付けることができる機会を増やしてまいります。

一方で、昨年交流が再開した韓国・晋州市にある教育アカデミーでは、知識そのものを頭に詰め込むのではなく、その子に合った学習の仕方を教えており、学力向上に目を見張るものがあると言われています。このアカデミーの取り組みを今後の市の施策にも参考にしたいと思います。

また、市立女子高についても、その存在価値をさらに高めてまいりたいと思います。県立高校の学区制の廃止について議論がなされており、これが実施されれば、子どもたちや保護者にとっては居住地に縛られず、学校選択の幅が広がることになりますが、一方で、各高校にとっては、これまで以上に学校の独自色を打ち出すことが求められます。これは女子高にとってのチャンスです。卒業後を見据えて重点的に教える教科を特化するなど、特色ある教育を進め、新たな学校の価値を生み出すことで、是非入学したいと思ってもらえる魅力ある学校を目指したいと思います。それは、すぐに実現できることではないかもしれませんが、先ずは本年度に校長を市で採用したことを皮切りに、次年度は平成31年度から一般の教職員も市で採用するための募集手続きを進めてまいります。

さらに、小中一貫教育のモデルとして取り組んできた八束学園は4月から義務教育学校としてスタートします。これにより9年間を見通した教員の配置や学習内容を先取りしたカリキュラムなど、小中の教育をさらに切れ目なく効果的に行うことができるようになります。小学校での英語教育やプログラミング教育など新たな教育の動きがある中で、時代を反映した新たな教育モデルの一つとして進め、そのノウハウを他の学校へも広げていきたいと考えています。

あわせて、小中学校の普通教室へのエアコン設置や学習用デジタル機器の整備など、子どもたちの学習環境も適宜整えてまいります。

また、玉湯まがたま学園は実施設計を終え、資材である木材の調達を進めているところであり、3年後の開校を目指して鋭意工事を進めてまいります。

さらに、市域南西部の学校給食の拠点となる南学校給食センターについては、DBO方式による建て替え工事を開始いたします。

なお、今後は中核市として、改めて本市の実態に合った教員の研修を担っていくことになりますが、この機会を生かし、よりいっそう教員の資質向上に努めてまいります。

こうした新しい教育の動きの中で特色ある教育を実行していくためには教員人事権の移譲が欠かせません。前向きな議論となるよう、県には市町村の間に入って主導的に調整をしてもらいたいと考えております。

(ふるさと教育の推進)

そして学力と同様に人づくりに欠かせないのは「ふるさと教育」です。

国は東京の大学の定員増を10年間禁止する方向で法整備を行うなど、東京一極集中の是正にようやく本腰を入れ始めました。しかし、私はそれだけでは若者の心を動かす根本的な解決策にはなっていないと思います。

昨年、「里山資本主義」で有名な藻谷浩介さんの講演会を拝聴した際に、藻谷さんは人生90年時代の生き方を野球の試合になぞらえ「人生は9回裏まである」という言葉で説明されました。仕事を退職する60歳を6回裏とするならば、そのあとの人生はまだ30年も残っており、充実した生き方を送るには人生90年をトータルで見たうえでどう生きるかを深く考えてみる必要があるという内容でした。

会社勤めの現役期間は若い時に思っていたより実際は短く、退職した途端に社会との関わりは薄くなるため、リタイア後は孤立した生活になりがちです。その際には、人や地域との交流なくしては充実したその後の人生は送れないであろうと私は思っています。今の時代は最初からそのことを前提に人生をトータルで考え、どのようにして充実した人生を送るか、という時間軸を延ばした視点を持つべき時代になったと言えるでしょう。私は、都会生活ではなく、生まれ育った「ふるさと」で過ごすからこそ充実した人生が過ごせるということを、今、若い人たちに認識してもらいたいと思っております。

カラオケでもよく歌われる、沖縄出身のバンドの「島人ぬ宝(しまんちゅぬたから)」という歌にもあるように、ふるさとで育った経験は忘れがたい記憶となり、私たちの人生の宝となります。また、最近は人生との向き合い方について書かれた「君たちはどう生きるか」という漫画がベストセラーになって注目を集めています。大勢に流されずに自分の頭でしっかりと考え、充実した人生を送ることの大切さが、原作が書かれた80年前も今も変わらずに人々の共感を得ているのだろうと思います。

学校の先生方には、ふるさとで生きることの価値を自分のこととして考えるという視点でふるさと教育を行っていただきたいと思います。

市としても、進学や就職を機に都会に出た若者に、ふるさとに戻って暮らしたいと思ってもらえるように、松江で働くこと、楽しく暮らしていくことについての期待感をイメージしてもらえるようなシティプロモーションを積極的に行ってまいります。

なお、今年は明治元年から数えて満150年という節目の年に当たります。近代日本の礎を築いた若槻禮次郎氏や岸清一氏、梅謙次郎氏など、郷土出身の偉人についての企画展を開催するほか、先人とゆかりのある大学との交流など、優秀な人材を輩出したふるさと松江の素晴らしさと誇らしさについても、改めて市民の皆様と共有したいと思います。

(地域で働く若者人材の確保)

一方で、若者にはふるさとへの愛着や誇りを持ってもらうだけではなく、地元松江で就職してもらいたいと思います。今年度、私は企業や学校、保護者などの関係者の皆様と話し合い、若い人材を確保するためのアクションプランを策定しました。このプランに基づき経済団体と連携してインターンシップの受け入れ窓口を拡大するほか、これまでのような就職説明会に加え、早い段階から松江の企業の魅力を知ることができる企業見学の機会を設けたり、関係者が連携する新たな雇用推進組織の設立を進めてまいります。

昨年の「共創・協働マーケット」の議論の中で若者定住には情報発信が最も重要であるという意見がありました。都会に出た若者に地元の企業や暮らしに関する情報をしっかりと伝え、就職先や居住先の選択肢に入れてもらうことが必要です。若者と親しい関係にある様々な分野の皆様にご協力をいただきながら、若者たちと松江が常につながっていられる仕組みを作りたいと思います。

(Ruby人材の育成・確保)

多くの業界で人材の不足が叫ばれていますが、それはIT業界も同じです。しかし、考え方によっては今がチャンスでもあります。優秀な開発技術者を求めて都会から松江に開発拠点を移す企業が現れていますが、これは、本市がこれまでRuby人材の育成に力を入れてきた成果の表れと思っております。この流れをさらに加速するべく、Ruby人材の交流拠点であるオープンソースラボのさらなる充実を図るなど、「Ruby発祥のまち」というブランドを生かしたIT人材の育成を進めてまいります。

これまでもインドのケララ州との人材交流やインターンシップなどに取り組んでおりますが、海外との交流は松江のIT業界の優秀な人材確保が図れるだけでなく、Rubyを通じて異文化が融合することで国際的なビジネス感覚もいっそう磨かれます。引き続き経済団体や島根大学、企業との連携を強化し、圏域が一丸となってIT人材の育成・確保に努めてまいります。

(子どもを産み育てる環境づくり)

さて、本市にとっての引き続きの最重要課題の一つは年度途中の保育所待機児童の解消をはじめとする子育て環境の充実です。4月から子育て支援施策の担当部局を独立させ、さらに専門性を強化するとともに、庁内各課と横の連携を密にしながら、情報収集や調整機能も果たしてまいります。

待機児童の解消については、緊急一時預かりの拡充や企業主導型保育施設の推進などの保育の受け皿づくりの取り組みを図ってまいります。

そして、一方では、育児休業の取得推進に向けた価値観を企業をはじめとする関係者の皆様と共有することが欠かせません。現在、労働局や県、企業などと連携して実態把握調査を行っておりますが、今後はこの結果を踏まえてどのような取り組みができるか、関係者の皆様の協力をいただきながら考えてまいります。

また、保育士の不足も深刻ですので、この4月から、最長3年任期の短時間勤務保育士を市で採用するなど、安定的な保育人材の確保に取り組んでまいります。

児童クラブについては、平成30年度は乃木地区を整備することとしておりますが、今後も必要な数を確保することはもとより、民間の法人などによる運営も含め、より柔軟な運用を可能にする方法についても早急に検討してまいります。お陰様で市民の皆様には使用料の改定にもご理解をいただくことができましたので、引き続き、指導員の処遇改善を含め、よりよい環境づくりに鋭意務めてまいります。

子どもを取り巻く家庭の悩み事は、複雑多様化するとともに、デリケートな課題が増加しており、より専門的な見地からの解決が必要になってきました。

昨年、弁護士を市職員として配置して法律面での支援体制を整えてまいりましたが、本年はこれに加え、中核市移行をきっかけとして家庭相談の窓口をさらに充実させます。児童相談所とも連携を密にし、専門的な相談・支援体制を強化するとともに、ひとり親総合相談窓口などの関係部局とも連携を深め、相談しやすい体制をとることで、保護者の負担軽減と子どもたちの健やかな成長を市を挙げて支援してまいります。

一方で、子育てと仕事を両立できるしくみづくりという視点で、引き続きワーク・ライフ・バランスに賛同していただける加盟企業を増やし、子どもを産み育てやすい環境づくりに社会全体で取り組んでまいります。

(エイジレス社会に向けた健康づくり)

さらに、引き続きの課題としては、健康づくりの取り組みがあります。

特に高齢者といえば、これまでは福祉施策において支援の手を差し伸べる対象というイメージが強かったわけですが、最近はリタイア後も地域や社会で活躍される方が増えています。国においても65歳以上を一律高齢者とすることを見直し、すべての年代が希望に応じて活躍できるエイジレス社会を目指すとしています。つまり、社会保障や雇用などが大きく方針転換をし「支える側」と「支えられる側」の在り方が変わろうとしているということです。

好むと好まざるとにかかわらず、誰でも平等に歳をとるわけですので、国には次世代に“つけ”を残さない、安定した社会保障制度をしっかりと速やかに構築してもらわねばなりません。

一方で、市民に最も身近な基礎自治体である市としては、歳を重ねても身近な地域で安心して生活でき、活躍できる環境を整える責任があります。本年は新たな高齢者福祉計画・介護保険事業計画もスタートしますし、各地域においても地域福祉活動計画の策定が行われます。引き続き支援を必要とする高齢者や障がい者などの見守りや生活支援活動など、地域の中で支え合う仕組みづくりを推進してまいります。

4月には中核市として保健所を設置することで、医療的なケアが必要な乳幼児への支援や感染症対策をはじめとする市民に直結したサービスを一体的かつ迅速に提供できることになります。そして、「住まい・介護・医療・介護予防・生活支援」のすべての要素がそろうことになりますので、地域包括ケアの構築に向け、保健所のメリットをフルに発揮して関係機関との連携を密にしてまいります。

これにあわせて、健康づくりにあたる担当部局を独立させます。健康づくりや健康寿命の延伸に係る施策の総合的な企画・調整機能を強化することで、年齢の枠にとらわれない、新たなライフスタイルに応じた健康づくりを実践してまいります。

(スポーツ・文化によるまちづくり)

さて、松江を支える人づくりのためには、スポーツや文化などを通じて生活を楽しむことも欠かせません。茶の湯のように昔から培われてきた古い文化を守りつつも、新たな文化も積極的に育ててまいります。

スポーツ分野では、社会体育部門の所管を教育委員会から市長部局に移し、全庁的な取り組みとして展開することで、スポーツを地域振興や健康づくりなどにも生かしてまいりたいと思います。

本年は、4月にシニアバスケットボールの世界大会がアジアで初めてこの松江で開催されることになっていますし、8月には世界少年野球大会の開催も予定されています。さらに、松江市総合体育館に続き、屋外スポーツの拠点である総合運動公園の再整備が始まります。引き続き競技力の向上と市民の健康づくりを支えるとともに、スポーツを通じた人材育成を促進してまいります。

また、文化振興の面では、音楽を通じて人々の新たな文化交流も浸透し始めました。昨年の宝塚市との交流にも参画した松江クラシックス音楽祭は、4回目となる本年は地域や学校などのより身近な場での音楽活動の普及にも力を注ぎ、生活の中に音楽の楽しみをいっそう広げてまいります。

あわせて、築30年を超えて老朽化したプラバホールの改修についても、松江の音楽の拠点にふさわしい改修の在り方について専門的見地から検討を深めてまいります。

3.「松江だから安心」を貫く

選ばれるまちの実現のために取り組む3点目は『「松江だから安心」を貫く』ことです。

(災害等への備え)

安心と言えば、まず第1に自然災害などへの備えです。

近年は全国いたるところで、1年を通じてこれまでの常識では予測し得ないような自然災害が発生し、大きな被害をもたらしています。松江は水郷水都であるがゆえに、自然災害に対して脆弱な面がありますので、従来のように台風シーズンや梅雨時期だけを念頭に置くのではなく、消防団や自主防災組織と連携し、これまで以上に平常時からしっかりと災害に備えてまいります。

昨年本市では、夜間の局地的豪雨による意宇川氾濫の危険性が高まり、避難勧告を発令したことから、多くの市民の皆様が不安な夜を過ごされました。市としても改めて状況の一元的な把握などの重要性を痛感したところです。定点カメラの充実に加え、警戒段階から危険個所の監視や情報の収集・分析や、避難に必要な情報の一元管理による速やかな意思決定を可能にする「防災情報システム」の整備を進めてまいります。

また、かねてから懸案となっている市街地の内水排除についても、国や県と連携し、一日も早く抜本的な解決に繋げてまいります。大橋川改修については、早期に事業が完了するよう、引き続き国に対し強く働きかけるとともに、地域の皆様のご理解とご協力のもと、家屋移転や関連事業を鋭意進めるほか、水辺を生かしたまちづくりについても引き続き検討を進めてまいります。

そして、島根原発1号機の廃炉作業はもとより、2号機の新規制基準適合性審査につきましては、何よりも、国の責任において安全性が確保されなければなりません。国策として国が前面に立ち、エネルギー政策の説明と理解促進、原発の安全性の確保、原子力防災対策に対する支援など、しっかりと取り組むよう求めてまいります。あわせて、国・県と連携して広域避難計画の実効性のいっそうの向上に引き続き取り組んでまいります。

さらに、災害時の避難ルートにもなる松江北道路の早期事業化に向け、島根県と連携して取り組んでまいります。また、古浦西長江線や揖屋馬潟線についても早期の事業完了に向けて鋭意進めてまいります。

(持続可能な地域づくり)

さて、近年は運転免許を自主返納される高齢者が増えてきましたが、返納後の生活を支える移動手段の確保が全国的にも課題となっています。新たな都市マスタープランでも、公共交通を都市の骨格と位置付けました。人口減少社会においては、すでに都市機能が整備されている幹線道路や鉄道の沿線に人々が安心して住み続けることができる持続可能なまちづくりに取り組むことが重要になってきます。

平成30年度は、このマスタープランに基づき、各地域で議論されている望ましい農地のあり方とも整合を図りながら、古民家などの既存ストックを有効活用するための規制緩和や市街化調整区域の検証をはじめとする諸課題の解決を図ってまいります。

また、本市のまちづくりにおいては、JR松江駅周辺と殿町の周辺、さらにはその二つのエリアを結ぶ大橋川沿いのエリアの拠点性を高め、一体的に結んでいくことにより、利便性の向上と賑わいの創出を図っていくことが重要であると考えています。

JR松江駅周辺については、駅構内には魅力的な店舗が増えてきましたが、駅前は、バスやタクシー乗り場などが大部分を占めるとともに、大橋川への視界が開けていないため、駅前に降り立った観光客に松江の風情を感じていただくことができません。また、市民が日常的に集えるような賑わいスペースもないため、まちの活気や松江らしさが伝わりにくい状況でもあります。限られたエリアの中でもわかりやすく、魅力的な機能を盛り込んでいけるよう、今後、検討会を立ち上げて議論してまいります。

また、松江城周辺も多くの空き地が有効利用されずに駐車場となって点在しています。集客施設や飲食店などの立地も少ないため、松江の観光の一大拠点でありながら、観光客にまち歩きをして気持ちよくお金を使っていただける機能が不足しています。こうした課題についても、松江駅から殿町へと繋がるエリア全体を同じ視点で連携させながら考えていくことで、解決に向けて議論を深めてまいります。

(時代に合わせたインフラの活用と老朽インフラの改修)

人口減少社会に転じ、これまでのような新たな公共施設の建設を中心とした拡大一方の時代から、公共サービスを選択・集中し、いかに持続性を高めるかに知恵を絞る時代になりました。そのための公共施設の適正化は市民の皆様のご協力のもと引き続き推し進めていかねばなりません。

圏域内各市の施設との役割分担や共同利用も視野に入れたうえで、必要な既存インフラについてはしっかりと改修も行い、市民の安心と安全を高めてまいりますが、一方では、将来世代の負担にならぬよう不退転の覚悟をもって施設の整理統合も進めてまいります。

また、老朽化した庁舎の建て替えについては、秋口には基本構想・基本計画の策定を終え、基本設計に取りかかります。市民生活と災害時の拠点としても早期完成を目指してまいります。

(環境の保全と循環型社会の構築)

環境対策においては、中核市になり公害対策や廃棄物処理に係る権限を一元化して持つことになります。不法投棄についての相談なども対応の迅速化を図り、より住みやすさを向上させます。

また、本年10月からのごみ処理手数料の改定について今議会で提案させていただいておりますが、ごみの減量とリサイクル率の向上は市民一人ひとりが環境意識を高め行動しなければ、進まない難しい問題です。市としても今一度、職員が積極的に地域に出かけ、市民に協力をお願いするなどして、改めて市を挙げたリサイクルの取り組みを徹底し、江戸時代の松江に負けない循環型のきれいなまちを構築していきたいと考えております。

さらに、昨年大量繁茂した宍道湖の水草対策については、現在、すでに国・県・出雲市・島根大学とも連携して対策を講じているところであり、来年度は具体的な取り組みを行う計画です。水環境に恵まれたこの地域の関係者が結集して、これまで以上に対策を強化してまいります。

(新たなエネルギー資源の活用)

また、地熱や小水力、太陽光など新たなエネルギー資源の活用も、安心できる持続的な社会の構築に欠かせません。

現在、本市では「温泉」という資源に着目し、温泉熱を活用した発電と温泉水の産業活用について研究を行っております。また、木炭を活用した蓄電池の実証実験を松江高専や企業と協力して進めております。引き続き、島根大学や民間企業と連携し、再生可能エネルギーを地域振興に活用するためのビジョン策定をはじめ、豊富な温泉資源を活用した特産品開発などの共同研究を行ってまいる計画です。

(地方創生を推進する行財政基盤づくり)

さて、国では少子・高齢化で社会保障費などが膨張する中、財政健全化に向け地方への財源配分縮減が懸念される状況にありますが、本市においては平成30年度の地方交付税は合併算定替えの影響を受けながらも、一定程度確保されたところです。地方においては限られた財源の中で効率的な財政運営に努め、持続的な行政サービスを提供するために知恵を絞っているわけですので、国においては引き続き地方の実情に合った財政措置をしっかりと行っていただきたいと思います。

本市が中核市としての機能を発揮するためには、新たな業務に必要な体制整備のほか、既存の事務事業のスクラップ・見直しや職員数の適正管理などを含めた効率化が欠かせません。

平成32年度からは会計年度任用職員制度も始まりますので、引き続き臨時・非常勤職員の実態を踏まえ、制度導入に向けて鋭意準備を進めてまいります。

さらに、本格稼働した行政マネジメントシステムを活用して各事業の課題や必要性の検証をしっかりと行うとともに、引き続き公共施設の適正化や受益と負担の適正な在り方の検討なども進めてまいります。そして、見直しによって生み出された財源を、次の新たなチャレンジに生かし、持続的な行政サービスの確立を目指して取り組んでまいります。

(共創のまちづくり)

この松江市が「選ばれるまち松江」となるためには、市内のそれぞれの地域での連携も欠かせません。

地域版まちづくり総合戦略の意見交換会を各所で開催しておりますが、若者や、女性、子育て世代などが地域のまちづくりを話し合う場に参加される機会が当初より増えたように感じます。こうして様々な立場や年代の住民の間で新たな連携が進むことは市にとっても大変心強いことです。先般公民館長会からもいろいろなご提案をいただいており、行政と地域が連携した取り組みも進んでいくものと期待しております。

私も、引き続き共創・協働の理念のもと、積極的に地域に足を運び、皆様とまちづくりを行ってまいります。

おわりに

以上、平成30年度に取り組む主要施策を説明させていただきましたが、職員の一人ひとりが中核市の職員としての自覚を持ち、市民の皆様との共創・協働の理念のもと、絶対に人口減少を克服するのだという強い信念とスピード感を持って施策を実行に移してまいりたいと思っております。

松江らしさを生かし、地方創生を成し遂げるために私も全力を挙げてまいりたいと存じますので、市議会の皆様をはじめ、市民の皆様には引き続きお力添えをいただきますよう、お願いを申し上げます。

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