脳は、私たちのほとんどあらゆる活動をコントロールしている司令塔です。
記憶(覚える、思い出すなど)、感覚(見る、聞くなど)、思考(理解、判断など)、感情(喜び、悲しみなど)、からだ全体の調節(呼吸、睡眠、体温など)といった、生きていくために必要なほとんどの働きをコントロールしています。それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6か月以上継続している)です。
松江市では、認知症の正しい理解と、認知症の症状にあわせ、いつ、どこで、どのようなサービスが受けられるのかといった「認知症ガイドブック」を作成しました。
認知症の人やその家族が住み慣れた地域で安心して暮らしていくための情報として、ぜひご活用ください。
認知症は早く気づき、相談、受診することが大切です。
気になる点については、かかりつけや専門の医師、看護師、地域包括支援センターへ相談しましょう。
もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んで脳が委縮する「変性疾患」と呼ばれる病気で、続いて多いのが、「脳血管性認知症」です。
脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れて、意欲が低下したり複雑な作業ができなくなる。認知症の約15%を占める。
人によって程度の差はありますが、認知症の人にあらわれる主な症状です。
気になることや記憶にあることを、思った時に話すために、周囲の人は「また同じ話」と思ってしまうことがあります。
しかし、本人が話したい事であることを理解し、会話に付き合ってあげましょう。
時間がない時などは「今、時間がないけど、あとでゆっくり聞くからね」と対応することもお勧めです。
認知症のため時間、場所や空間が分からなくなると、とても不安になるため、何度も確認することが多くなります。
その都度、伝えてあげましょう。また、日めくりカレンダーなどを目につくところの置くこともよいでしょう。
「今日は○曜日だから、お出かけの日だよ」など、会話の中に日付や曜日、時間などを入れるのも一つの工夫です。
こういった状態は、認知症の人とその家族や近隣の人にとっては、とても心配になる状態です。
時には事件や事故に遭うこともあります。
対応の工夫として、GPS機能の携帯電話やグッズ、ヘルプカードを身につけておいてもらう、衣類、靴など本人が身につけるもの、杖やシルバーカーなどに記名しておくことをお勧めします。
人にとって財布や通帳は、とても大切なものですので、【きちんとしまっておかなくては】と思い、しまうのですが、認知症のためにしまったことや場所を忘れることもあります。
そして、【見つからないのは、誰かが盗ったから】と考え、修正ができないのが認知症の特徴です。
まずは、大切なものがなくなった不安を理解してあげ、一緒に探しましょう。
もし、しまった場所に見当が付く場合は、その場所を探すようアドバイスして、本人が見つけられるように手助けしてあげましょう。
認知症は早めに発見し、治療やケアを行うことで、症状を軽減したり、進行を遅らせることができます。
認知症の症状などが心配な時は、一人で悩まず、かかりつけや専門の医師、看護師、地域包括支援センターに相談しましょう。
松江市内に6か所の地域包括支援センターと2か所のサテライトがあります。
保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が配置され、高齢者とその家族の方のさまざまな相談を受け付けています。
認知症介護の経験者や専門スタッフが、認知症介護の悩みなどについて電話相談をしています。
上記の時間帯を除く時には携帯電話が転送で相談を受けます。
65歳未満で発症する認知症を若年性認知症と言います。
松江市では、松江市役所健康政策課や地域包括支援センターにて相談、支援を行っています。
また、平成30年4月に島根県若年性認知症相談窓口が開設されました。こちらでは、若年性認知症支援コーディネーターが相談、支援しますので、ご利用ください。
若年性認知症の相談に対応するため、厚生労働省が「若年性認知症コールセンター」を、認知症介護研究研修大府センターに開設しています。
コールセンターのホームページでは、若年性認知症に関わる様々な情報が掲載されています。
認知症サポーター養成講座は、認知症について正しい知識や認知症の人への接し方について学ぶことができます。
認知症サポーター養成講座を受講した人は、「認知症サポーター」となり「認知症の人を支援します」という意思を示す目印の「オレンジリング」が渡されます。
認知症サポーターとして「なにか」特別なことをするのではなく、偏見を持たず、認知症やその家族に対して温かい目で見守る「応援者」として、自分のできる範囲で活動します。
認知症サポーター養成講座を受講された人で、認知症の事業等に協力したい、活動したいとお考えの人はご連絡ください。
認知症サポーター養成講座は、少人数から開催をすることができます。
あなたの地域や職場、学校などで、認知症サポーター養成講座を開催してみませんか。
講座を開催される際には、申込書に必要事項をご記入の上、お申込みください。講師役である「キャラバンメイト」をご紹介します。
【問い合わせ・申し込み先】健康政策課地域包括ケア推進係(電話55-5568、FAX55-5205)
認知症になったとしても、介護する側になったとしても、人としての尊厳が守られ、日々の暮らしが案穏に続けられるよう、ともに励ましあい、助け合って、人として実りある人生を送るととに、認知症になっても安心して暮らせる社会の実現を目指し、様々な活動をしています。
介護をしている人の思いや体験談など語りあい、交流する場として、定期的に開催している「家族のつどい」は、認知症の人を介護している人や認知症に関心がある人など、誰でも参加することができます。
物忘れが進んだり、理解力が低下したりすると、集団の場に出かけることに消極的になる人が多くなります。
しかし、認知症を悪化させないためには、「楽しい」「心地よい」という気持ちになれる場や人との交流が必要です。
認知症の人や家族、認知症を理解し適切に対応する人が寄り添いながら、同じ時間を過ごし、「楽しい、心地よい」と思える場として「認知症カフェ」があります。
認知症になっても自分の思いをきちんと語れる場、生活や介護の悩みを相談できる場、いろいろな情報を交換する場として、「認知症カフェ」へお出かけください。