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調査コラム〜史料調査の現場から

(2022年12月5日修正)

『松江市史』編纂事業が終了し、史料編纂課と松江城調査研究室は令和2年(2020)4月から史料調査課と松江城調査研究室として再出発しました。さらに、令和4年(2022)4月から新たに「松江城・史料調査課」となりました。今後も課でこの「調査コラム」を執筆していきます。→「調査コラム」バックナンバーはこちら

「市史編纂コラム」バックナンバーも引き続き公開しているほか、『松江市史料編纂コラム』として令和2年1月31日に冊子化しています。

第29回

「近世城郭の天守群」の世界文化遺産登録を目指して(1)

 松江市(松江城天守)では現在、同じく国宝天守を有する松本市(松本城天守)と犬山市(犬山城天守)とともに、「近世城郭の天守群」という枠組みでの世界文化遺産登録を目指しています。日本の城郭の中でも象徴的な高層の木造建築物で、16世紀後半から17世紀前半にかけて急速な発展を遂げた「天守(Tenshu)」。このうち現存する国宝の天守は、世界文化遺産に値すると考えるからです。

松江城天守

【写真1】国宝松江城天守(慶長16年〔1611〕創建)


 この「近世城郭の天守群」の世界文化遺産登録に向けて、その機運が高まるとともに世界遺産についての理解が広まることが欠かせません。そこで、関連する事柄をこれから数回にわたりコラムに書いていきます。


 2015年7月8日、松江城天守は国宝に指定されました。

国宝指定書

【写真2】国宝指定書(松江城天守)


 国宝は、「重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」を、文部科学大臣が指定します(文化財保護法第27条第2項)。指定までには、(1)文部科学大臣が国の文化審議会に諮問、(2)文化審議会文化財分科会での審議・議決、(3)文化審議会が文部科学大臣に答申、というプロセスを経ます。

 このように、国宝は「世界文化の見地」から価値判断されますが、日本国内の法律や審議機関に基づく評価にすぎません。一方、世界遺産は世界遺産条約という国際的な枠組みの中で価値評価されるものです。では、まず世界遺産とは何なのかを見ていきます。


 世界遺産を定める「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(Convention_Concerning_the_Protection_of_the_World_Cultural_and_Natural_Heritage)」(通称:世界遺産条約)は、1972年のユネスコ(UNESCO:国際連合教育科学文化機構)の総会で採択された国際条約です。この条約成立の背景には、1960年代にエジプトのアスワン・ハイ・ダムの建設によりナイル川流域にあったヌビア遺跡を移築して保存するための、ユネスコによる救済キャンペーンと募金活動がありました。これにより世界共通の文化遺産をユネスコという国際的な枠組みで保護していくという思想が広まったのです。

 この条約の目的は、「顕著な普遍的価値を有する文化遺産及び自然遺産を認定し、保護、保全、公開するとともに、将来の世代に伝えていくこと」とされています(世界遺産条約履行のための作業指針第7項)。

 このように世界遺産を規定する「顕著な普遍的価値(outstanding_universal_value)」(通称:OUV)は、「国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代及び将来世代に共通した重要性をもつような、傑出した文化的な意義及び/又は自然的な価値」を意味します(世界遺産条約履行のための作業指針第49項)。

 なお、日本の文化財保護法のような文化財の指定制度とは異なり、「世界遺産一覧表(The_World_Heritage_List)」に記載されることで世界遺産への登録となります。このリストを作成し公表する任務を負うのが、ユネスコ内に設置された「顕著な普遍的価値を有する文化遺産及び自然遺産の保護のための政府間委員会」(通称:世界遺産委員会)です。また、世界遺産委員会は「危機にさらされている世界遺産一覧表(The_List_of_World_Heritage_in_Danger)」(通称:危機遺産リスト)も作成・公表して、世界遺産の保護を図っています。

 今年(2022年)は、1972年の世界遺産条約の採択からちょうど50年。現在、条約締結国は167か国、世界遺産登録数は1,154件を数えます。

 このような節目の年に、残念なことにロシアによるウクライナ侵攻が始まり、多くの文化遺産が危機に瀕しています。条約締結国であるロシアには、人類全体にとってかけがえのない文化遺産を将来世代に伝えるための行動が求められるのではないでしょうか。

(松江城・史料調査課松江城係長/木下誠/2022年12月5日記)

※編集システムの都合により、英文語句間のスペースを「_」で表記しています。

お問い合わせ
文化スポーツ部  松江城・史料調査課
電話:0852-55-5959(松江城係)、0852-55-5388(史料調査係)/ファックス:0852-55-5495(松江城係)、0852-55-5495(史料調査係)
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